人間関係、病気、就職難など、人によって様々な理由から『ニート』になったという方がいます。
総務省の統計によると、2021年の時点で15歳〜34歳の若年無業者数は平均57万人、35歳〜44歳無業者数は36万人(*)と、決して少ない数字とは言えません。
とはいえ、そのままニートを続けても状況は打開されることはなく、むしろ経済的、社会的に孤立し、困窮する将来はチラチラとあなたにプレッシャーを与えるでしょう。
ふと「このままでいいのかな?」と不安になった方、社会復帰を考えるもののその先に踏み出せない方。
どうしたら社会復帰ができるのか、一緒に考えてみませんか?
*参照:総務省統計局「労働力調査」
- 経営情報学修士(MBA)
- 国家資格キャリアコンサルタント
- 特定非営利活動法人日本キャリア開発協会認定 キャリア・デベロップメント・アドバイザー
- 一般社団法人日本産業カウンセラー協会認定 産業カウンセラー
父がアルコール依存症の貧困家庭で子ども時代を過ごす。 高校卒業後、東洋大学文学部哲学科を中退し、アルコール依存症の父のケアに追われ、日雇いのアルバイトなどに従事する。 父の他界後、キャリアアップを重ね、売上高約2兆円・従業員数約11万人のリコーグループの社員教育機能を担う専門会社において、人材開発企画部門のマネジャーとなる。 その傍ら、多摩大学大学院経営情報学研究科に入学し、経営情報学修士(MBA)の学位を取得。その研究成果により優秀論文の表彰を受ける。
現在は、キャリア開発シンクタンク「プレイフルキャリア研究所」の代表として、キャリアコンサルティング事業を運営している。 個人へのキャリアカウンセリングや企業・大学・NPO等における研修・講演実績も豊富である。 社会的課題に関する啓発イベントも多く開催。 その活動は、フジテレビのドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション」など、テレビ・新聞・ウェブメディアにも取り上げられている。
運営サイト・著書
HP:https://playful-career.com/
ブログ:https://www.yuichi-igarashi.com/
Twitter:@yuichi_igarashi
「このままでいいの?」そう思った時が脱ニートのチャンス!
脱ニートをためらう理由はなに?
このままニートでいいんだろうか?と不安や疑問、罪悪感を感じている方は多いと言います。
しかし思いはすれども、なかなか社会復帰には踏み切れない…。
ズルズルと現状維持を続けてしまう理由とはなんでしょうか?
今更社会に出るのが怖い
一旦逃げてしまうと、戻ることに抵抗を覚えてしまうという気持ちは分かります。
ニート期間があると、面接時にその理由を聞かれるのは避けられません。
それに対して「叱られるのでは?」「呆れられるのでは?」「説教とかされたらどうしよう」と尻込みしてしまう人は多いです。
自分に自信がない
働いていない期間があるせいで、「自分には何のスキルもない」「仕事ができる気がしない」と自信喪失してしまう方も少なくありません。
今更仕事するなんて億劫
1度仕事をせずに遊んでしまうと、味をしめてしまいがちです。
毎日出勤して何時間も仕事して、人間関係に悩んで、満員電車もウザいし、なんて気持ちになってしまうことも…。
体や心が勤務に耐えられるか不安
中には仕事や人間関係、いじめ、パワハラなどで体や精神の病気を患ってしまう方もいます。
静養して少しずつ調子を取り戻してきた。そろそろ社会復帰を…
そう考えてはいるものの、また調子を崩してしまったら?と社会復帰をためらってしまう場合もあります。
無理はする必要なし。できる所から始めればOK
ニートになった経緯にも様々な理由があります。
しかし、世間的にはなかなか受け入れられない立場です。SNS上でも、事情も知らないくせにすべてのニートをひとまとめに『怠惰』と切り捨ててしまう声が多数あるのも事実です。
ついそれらの声を真に受けてしまって、落ち込んだり焦ったりする方も多いでしょう。
今すぐ正社員にならなくちゃ!と焦ったところで、なかなか心が着いてこないのも仕方のないことです。
事情はそれぞれ。何も知らない人の声にいちいち耳を傾ける必要はありません。
まずはアルバイトから、在宅ワークから、職業訓練から…社会復帰にも様々な方法があります。
人のペースで焦って高いハードルを飛ぼうとせずに、自分の心を守りつつ、自分のペースで社会復帰を目指すのが一番の近道です。
- キャリア(人生)カウンセラー
社会復帰に向けてチャレンジを始めた自分のことを、自分でホメる習慣を付けましょう。取るに足らないと思えるような行動でも、一歩ずつ前進することに価値があります。
例えば、あなたがこのサイトを見ているだけでも、十分立派なことなのです。それは、脱ニートへの意欲の表れであり、新たな知識の学びでもあります。
「今日は、ネットで情報収集できた!すごいぞ自分!」そんな自分へのホメ言葉の積み重ねが自信につながります。
まずはできることから始めましょう。たとえ週に一日だけの単発アルバイトでも良いのです。一日頑張った自分をホメて、次は週二日働くことにチャレンジしてみましょう。そうやって、一歩ずつ進んでいけば、必ず社会復帰できるようになります。
現実問題ニートの社会復帰は年齢が勝負
とはいえ、あんまりのんびりしている場合ではないという現実も、しっかりと認識しておくべきではあります。
年代によって社会復帰がどう変わっていくのか、確認してみましょう。
20代はポテンシャルでアピールできる
20代前半くらいまでは、『既卒』や『第二新卒』と呼ばれる求人枠があります。
『既卒』は新卒で就職できなかった人がその後3年くらいまでの期間を呼ぶものなので、立場としては大卒ニートと同じと言えます。
20代後半から社会経験やビジネスマナーの知識を問われるようにはなります。
しかし、まだポテンシャル採用をしている企業も多いため、ニートでも20代の内なら十分正社員として社会復帰がしやすい世代です。
30代になると未経験職種は転職でも困難になってくる
30代になってくると、企業側としても『即戦力』としてのスキルを求めるようになってきます。
そのため、現在正社員として働いている人でも未経験の職種では転職が難しくなってくる年代です。
特に30代後半になってくると、リーダーや主任などの役職に就く人も増えてくるので、より『経験』を問われるようになってきます。
ニートとはいえ、社会人経験があるという方であれば、前職に関わる仕事なら社会復帰は比較的しやすいと思います。
またアルバイト経験だけだとしても、アピールの仕方によっては経験として見られることもあるでしょう。
しかし、まったく社会人経験がない30代となると、年を取れば取るほど、どんどん難易度は上がってしまうでしょう。
40代では体力の問題まで出てくる
40代になってしまうと、一般的にはハイクラス転職を勧められる年代です。
そこで未経験となると、仕事が限られてしまうというのは覚悟すべきです。
売り手市場である介護、建築・不動産などは狙い目ですが、40代になると若い世代に比べて体力面で劣ってしまいます。
特にこれまでニートで仕事をしていないとなれば、一般的な40代以上に体力面で仕事についていけない可能性も大いにあります。
IT業界も売り手市場と呼ばれ、介護業界や建築・不動産業界よりも体力に頼らずに済むし、在宅ワークも可能な業界ではあります。
しかし常に知識や技術をアップデートし続けなければついていけない業界でもあります。
40代から新しく始めるには頭の回転を早くする訓練が必要になるでしょう。
ニートが社会復帰を決意したら何からしたらいい?
自分ができること・できないことを書き出してみよう
ニートからいきなり社会復帰を決意したとしても、何から始めればいいんだろう?と悩んでしまう方も多いでしょう。
思いついたからと言って、いきなり転職サイトを見たところで、ちんぷんかんぷん?と混乱してしまう方もいそうです。
特にこれまで社会人経験がない方は、求人を探す前にぜひ『自分自身の棚卸し』をしてみてください。
これは現在バリバリ社会人という方の転職活動の際にもおすすめしている方法です。
経験したことを書き出す
- 職歴
- アルバイト経験
- 部活
- ボランティア活動
- 個人的に取り組んだこと
どんな些細なものでも構いません。いつ、どれくらいの期間、上げた成果、そこで学んだこと、できるだけ詳細に箇条書きで構わないので、書き出してみましょう。
得意(好き)なこと・苦手(嫌い)なこと
仕事に関わることじゃなくて大丈夫です。
- 本を読む
- 絵を描く
- 単純作業
- 体を動かす
- PC操作が得意
- 人と話す
- 料理
- 車の運転
- 旅行 など
生活に即したものでも全然構わないので、『得意・好き』と『苦手・嫌い』に分けてどんどん分類してみてください。
仕事に求めること
仕事をするとなったら、これだけは譲れない!と思うものを書き出しましょう。1つでなくて構いません。
- 電車通勤はしたくない
- 土日休み
- 残業したくない
- デスクワーク
- あまり人と関わりたくない
など、まずは書けるだけ書いてしまいましょう。
その後で、もし余裕があれば、書き出した項目に優先順位を付けてみるのも良いでしょう。
そして書き出した内容をじっくり確認してみると、
- 自分はどんな仕事に向いているのか
- どんな体制や業務時間で働くのが向いているのか
- 自分の求めるものに合った職種はなんなのか
が、見えてくるようになります。
誰でも「初めて」は怖いもの。その「怖い」は普通!
次はいよいよ行動を起こすことになりますが、この段階で「やっぱり止めようかな…」と尻込みして、また今度と後回しにしてしまう方も居ると思います。
その理由が「怖いから」だとしたら、それは正常な感情です。
誰でも『初めて』の分野に挑戦する時には緊張するし、上手くいくかなんて分からなくて怖くなってしまうものです。
社会人でも転職活動に尻込みしてしまう人は多く、面接が大好き!というのは少数派。
「社会復帰が怖くて嫌だなって思ってしまう自分は駄目な人間だ…」ともし自信喪失してしまったり、ネガティブになっているとしたら、みんなそうなんだ!自分だけじゃないんだ!と考えてみてください。
ちょっと勇気が湧いてきませんか?
ニートからの社会復帰は支援サービスがおすすめ
社会復帰が怖いと感じてしまっている方は、ぜひ支援サービスを利用することをおすすめします。
自分ひとりだとどうしても尻込みしてしまって、踏み切れずズルズルと年月だけ経ってしまう場合があります。
そういう時こそ、背中を押してくれる第三者のプロは心強い味方になるはずです。
ニート向けに、未経験職種OKの案件を多く集めた転職エージェントは、現在数多くあります。
またハローワークや地方自治体では、無料で職業訓練を行っているところも多いです。社会人経験未経験の方のためのビジネスマナー講習などを行っていたりもします。
職業訓練なら仕事の知識と技術を学んで自信が付きますし、受講後に職業紹介や合同説明会がついているところも多いので、流れに乗って社会復帰することも容易になるでしょう。
- 転職エージェント
- ハローワーク
- 自治体の職業訓練
など、ぜひあなたに合った支援サービスを探してみてください。
- キャリア(人生)カウンセラー
ニートになってしまうと、社会から取り残されたように感じる方が多いでしょう。しかし、実は、社会から距離を置くことが、「自己分析」にじっくり取り組めるチャンスになるのです。
「自己分析」とは自分自身に対する理解を深めることですが、それを行うには、一人で自分を見つめ直す十分な時間と心のゆとりが必要です。社会に出て人と関り仕事に追われていると、「自分と向き合う」余裕を無くしてしまいがちです。
ニート期間は「人生の夏休み」。そんな風に割り切って、焦らずにしっかりと「自己分析」に取り組む方が、社会復帰がスムーズになります。一人で取り組むのが不安であれば、キャリアコンサルタントのような専門家に相談してみるのも良いでしょう。
【まとめ】ニートだからこそ支援サービスを使ってほしい
ニートは社会復帰に対して「怖い」「無理」と感じがちです。
それなのに一人で頑張ろうとすれば、どうしても強いストレスを感じてしまいます。ストレスとは負荷となって、心身に影響を及ぼしてしまいます。
一人でやっているからこそ、就職活動を断念しやすい状況も生みやすいです。
「もう無理、もう嫌だ」と逃げてしまうと、次にまた社会復帰ができるチャンスがいつ来るかわかりません。
だからこそ、一緒に社会復帰に向けて戦ってくれる仲間を支援サービスで作って欲しいのです。
就職エージェントの担当者でもいいですし、職業訓練で一緒に学ぶ友人でも構いません。
一緒に励まし合う相手がいるだけでポジティブになれたりするので、ぜひ一人ではなく誰かと一緒に内定を目指せる状況を作るため、あなたに合った支援サービスの利用をおすすめします。
- キャリア(人生)カウンセラー
社会復帰のために最も必要なのは「コミュニケーション能力」です。ですが、ニート期間中は、他の人とのコミュニケーションの機会が少なくなってしまいがちです。だからこそ、支援サービスで、自分の味方になってくれる人や社会復帰を目指す仲間とつながることが大切なのです。
転職エージェントやキャリアコンサルタントは、あなたの社会復帰を支援するプロです。また、あなたと同じニートの方となら、不安や悩みも分かち合えるでしょう。ですので、支援サービスの利用を通じて出会う人々とは、安心して交流できます。
そのような人々とのコミュニケーションが、社会復帰の「予行演習」になるのです。まずは、自分の殻を破る勇気を持って、支援サービスを利用してみましょう。