医療技師の転職

放射線技師の夜勤はどんな仕事?日勤との仕事の違いや必要な能力とは

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放射線技師は主に病院やクリニックで働いており、病院の規模次第で夜勤があるケースも多いです。病院で働く以上は必須とも言える夜勤では、放射線技師もやるべきことがたくさんあります。

本記事では、夜勤での放射線技師の仕事について解説し、日勤の仕事とはどのような違いがあるのか紹介します。また、夜勤ではどのような能力が必要とされるか確認しましょう。

放射線技師の1日のスケジュール

放射線技師の基本的な1日のスケジュールを見ていきましょう。

7:00出勤・機器のチェック
8:30ミーティング・業務開始
9:00予約患者のX線・CT・MRI
12:30昼休憩
14:00造影検査やカテーテル検査
16:00撮影した画像の読影・データのカルテ入力
16:30他院への紹介用データのコピー
17:30退勤

放射線技師は出勤時間が早く、出勤と同時に機器の稼働と動作チェックを行わなければなりません。X線やCT、MRIなどの精密機器を扱う放射線技師だからこそ、機器のトラブルは診療の遅延に繋がります。

検査機器のトラブルがないか診療開始前にチェックしておけば、必要に応じて代わりの検査機器も用意できます。放射線技師は他の医療職と比べても朝早くから出勤し、通常の日勤終了時間で退勤するスケジュールです。

また、各種の撮影検査だけでなく、心臓カテーテル検査や脳血管造影検査、バリウムを使用した透視検査、放射線治療も業務範囲です。放射線技師の仕事は範囲が広いことから、毎日が目まぐるしく過ぎていくでしょう。

放射線技師の仕事内容

次に、放射線技師の仕事内容について、もう少し詳しく見ていきます。放射線技師はどのような業務を行うのか、夜勤はどのくらい行っているのか解説します。

各種撮影業務を行う

放射線技師といえば、レントゲン撮影やCTを行うイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。それ以外にも色々な撮影業務を行っているため、どのような撮影検査・業務があるのか紹介します。

  • X線撮影(レントゲン検査)
  • CT検査
  • MRI検査
  • マンモグラフィ検査
  • 透視検査(胃や大腸のバリウム検査)
  • アンギオ検査(血管造影)
  • 核医学検査
  • 放射線治療
  • エコー検査

代表的な検査業務だけでもこれだけあり、それぞれの検査について放射線技師によって専門分野があります。病院では1人でいくつもの撮影業務を担当するケースもあれば、1つの検査を専門的に取り扱うケースもあります。

ただし、例外的に放射線治療や核医学検査、アンギオ検査などは専門性が高いことから、専門の教育や知識を持った放射線技師が行うことがほとんどです。

病院の方針によっても異なりますが、1つの職場に多くの放射線技師が働いています。放射線技師として専門性を高めるのか、それとも幅広く対応できる能力を身に付けるかによって、選ぶべき職場も変わってくるでしょう。

緊急でのCTやMRI

大規模な病院は周辺地域の拠点病院や基幹病院となることがあり、そこで働く放射線技師が緊急性高い事例に対応することも少なくありません。特に交通事故などの高エネルギー外傷や腹腔内の出血、心筋梗塞・脳梗塞など緊急性の高い症例には素早い対応が必要です。

また、検査後の画像の読影も行う必要があり、読影には多くの経験と知識が求められます。放射線技師としての経験が少ないうちは、経験を積む意味でも、緊急のCT・MRI検査が多い大規模病院に勤務するのがよいでしょう。

造影検査(アンギオ検査)では医師に読影のアドバイスをすることも

アンギオ検査では心臓や脳の血管を造影し、動画や画像として記録を残すのも放射線技師の仕事です。検査中は医師とも相談しながら、どのくらいの造影剤を流すのか、流す速度はどうするのかなどを調整するのも役割になります。

また、造影検査中に気になる点があれば医師に報告し、どこに問題があるのかを一緒に相談することもあります。造影検査は専門性の高い撮影ですが、放射線技師としての腕の見せ所の1つです。

画像読影能力の高い放射線技師は、医師や看護師からも頼りにされ、病院にとって必要な存在となるでしょう。

病院では月に数回当直や夜勤がある

病院によって、放射線技師にも夜勤や当直があり、夜間に1~2人で対応しなければなりません。新人でいきなり夜勤を担当することはありませんが、ある程度の経験と技術を身に付けていれば、月に数回夜勤が入るようになります。

放射線技師の夜勤は、夕方から翌朝までの長時間の拘束です。夜勤手当は支払われるものの、1人で夜間を過ごすこともあり、責任感と緊張感のある夜勤となるでしょう。

自分の仕事に責任感を持ってやり遂げる意思と、夜勤でも集中力を切らさないように体力をつけておくことが大事です。

放射線技師の給与

放射線技師の年収は、令和2年度の調査による全国平均で548万7,100円となっています。診療放射線技師の年収は男女差が大きく、男性が580万6,100円、女性が453万7,000円です。

年収に100万円以上差が出た理由として、夜勤が長時間になるため体力的優位な男性が任されやすいこと、子育てを主に行っているのが女性という事情があります。

そのため、男性の診療放射線技師は、病院勤務なら夜勤に入る回数が多く、体力面では大変な仕事です。夜勤手当は病院や施設の方針によって大きく変わりますが、安くて夜勤1回で5,000円、高いと1回あたり2万円以上の手当が支給されることもあります。

他の医療専門職に比べると診療放射線技師の年収は高いですが、その分仕事も大変ということがわかります。

参考:e-Stat 令和2年度賃金構造基本統計調査

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&query=%E7%B5%A6%E4%B8%8E%E3%80%80%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E6%8A%80%E5%B8%AB&layout=dataset&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001152186&tclass2=000001152187&tclass3=000001152191&cycle_facet=tclass1%3Atclass2%3Atclass3%3Acycle&tclass4val=0&metadata=1&data=1

放射線技師の夜勤事情

放射線技師の夜勤の実態は、どのようになっているのか見ていきます。

施設によって夜勤の体系に違いがある

病院によって、夜間の仕事を「夜勤」と「当直」で区別していることがあります。夜勤と当直は似たような言葉ですが、労働基準法上では大きな違いがあります。

当直は、日勤から続けて夜勤に入り、基本賃金の3分の1以上が当直手当として支給され、基本給の高い病院ほど手当も高いです。一方、夜勤は夕方から翌朝までの仕事であり、手当は当直より少なめです。

丸一日仕事で働くか、夜間のみ働くかが違っており、当直のある病院は体力的にも大変なことが多くなります。仕事で長時間拘束されることを避けたいのであれば、夜勤形式の病院を選びましょう。

基本的に夜勤は夕方から翌朝まで

夜勤と当直は意味合いが変わりますが、法律上の業務についても違いがあります。夜勤は夕方から朝までの勤務となり、仕事内容は日中の通常業務と同じです。

一方、当直は法律上、「軽微な業務であってほとんど労働する必要がない」とされています。しかし、現実には夜間に緊急検査が入ることもあるため、やっていることは夜勤と大差がありません。

実際行っている業務に違いがないため、働くのであれば夜勤のある病院の方がおすすめです。

日勤よりも担当する業務範囲が広い

夜勤中は放射線技師が1~2人体制で撮影室に待機し、1人でやるべき業務範囲が日勤よりも広くなります。日中はX線撮影やCT、MRIなど担当を区別していても、夜勤では担当外の仕事もしなければなりません。

もちろん、専門性の高い放射線治療を夜間に行うことは考えにくいですが、夜間に体調不良の患者さんが発生することはあります。その場合でも、すぐに対応できるように、日頃から担当外の仕事にも関心を持っておくことが大切です。

夜勤は放射線技師にとって責任ある大変な仕事ですが、同時に放射線技師として成長の機会にもなります。放射線技師のスキルアップにおいては夜勤が重要なので、病院で勤務する場合は夜勤を経験できる場所を選びましょう。

放射線技師が夜勤で必要とされる能力

放射線技師が、夜勤業務において必要とされる能力とはどのようなものか解説します。

マニュアルを正確に理解する読解力

放射線技師が使用する機器は、医療機関や施設によってメーカーや操作方法が異なるため、決められたマニュアル通りに業務を行うことが重要です。業務に関するマニュアルは、誰もが一定の検査の質を確保できるように作成されているので、しっかりと理解して業務を行わなければなりません。

特に夜勤で働く場合、マニュアル通りに検査を行うことが何よりも重要です。夜勤中は1人ですべての検査を行う状況もありますから、しっかりと手順に沿って職務を遂行する能力が夜勤で求められます。

緊急時にすぐ対応できる体力と精神力

医療専門職全般に言えることですが、夜間の業務をスムーズに行うには体力・精神力のタフさが必要です。疲れてくると集中力が低下し、疲労は「このくらいでいいか」といい加減な仕事に繋がりやすいです。

医療ミスの多くは、ちょっとした注意不足や操作ミスが原因となっていることが多く、集中力を欠くと大きなミスに繋がるおそれがあります。

そのため、病院の夜勤を問題なく乗り切れる体力と、緊急事態にも対応できる冷静さがあれば、夜勤でも不安なく働けるでしょう。

1人でどんな撮影検査にも対応するスキル

夜勤では放射線治療や核医学検査、アンギオ検査のような特殊な検査を行うことはまずありません。しかし、状況次第でCTやMRIのほか、ポータブルでのX線撮影を行うことがあります。

また、緊急性の高い事例では、夜間でも脳梗塞や心筋梗塞でのカテーテル検査、脳梗塞患者へのtPA療法前にCT・MRI検査を行わなければなりません。そのため、一部の特殊な検査を除き、X線撮影やCT・MRI検査などを1人で出来る技術が求められます。

他にも細かな仕事として、イレウス管やCVカテーテルの位置確認などもX線撮影で確認するため、検査技術とともに解剖生理学の理解も必須です。周囲に頼れる放射線技師がいない状況でも、1人で対応できるようにスキルを磨いておくことが大切です。

まとめ:放射線技師が夜勤で働くには検査技術を身に付けることが大事

看護師や臨床検査技師の夜勤と同じく、放射線技師も夜勤では1人または2人体制が基本です。日勤帯のように頼れる同僚がいないため、一通りの検査を1人で実行できる基礎的な検査技術を身に付けておくべきです。

放射線技師が主に働く場所は、病院またはクリニックですから、夜勤はほぼ必須になるでしょう。夜勤の仕事でも問題なく遂行できるよう、体調管理に配慮し、放射線技師としてスキルアップすることが大事です。

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