心臓や血管を専門的に診療する、循環器内科。
命に直結する臓器だけに、日夜現場で働く看護師は緊張感を持って仕事に取り組んでいます。
循環器内科は病院においては欠かせない診療科であり、レベルの高い看護師が多いです。
この記事では、循環器内科看護師に向いてる人の特徴・仕事内容ややりがいについて詳しく解説します。
循環器内科で働く看護師の一日の流れも紹介しているので、ぜひご一読ください。
循環器内科看護師に向いてる人・特徴
循環器内科看護師に向いている人の特徴や性格は、以下の通りです。
循環器内科の看護師に向いてる人
- マルチタスクをこなせる人
- 臨機応変な対応ができる人
- 忙しいほうがやりがいを感じる人
- 人とのコミュニケーションが好きな人
- 色々な症例を経験して成長したい人
循環器内科は、看護師としてさまざまな経験を積みたい人に向いています。
症例や業務が他の科よりも幅広く多岐に渡るためです。
そのため、柔軟に対応できるかどうかが循環器内科で活躍するカギになります。
循環器内科看護師のやりがい・志望動機
循環器内科で働く看護師が、仕事のどこにやりがいを感じるのか紹介します。
今の仕事にやりがいや手ごたえが少ないと悩んでいたら、やりがいのある循環器内科の仕事がおすすめです。
就職・転職の際の志望動機としても参考にしてください。
患者さんの回復が実感できる
循環器内科の看護師は急性期から回復期まで、幅広い段階の治療を担当します。
循環器系の疾患の場合、回復が目に見えやすく、退院は自力で歩いて帰る方も多いです。
入院はストレッチャーによる搬送だった患者さんが、帰るときには自立歩行で変える姿は、看護師にとって患者さんの回復を実感できる場面です。
循環器内科の看護師のやりがいは、こうした患者さんの回復を支え、笑顔で退院する姿を見送ることにあると言えるでしょう。
看護師として出来ることが増えていく
循環器では急性期の体調が安定しない時期から、体調が比較的安定する回復期まで、治療段階に応じて看護を行います。
患者さんの状態に合わせて、点滴や尿道留置カテーテル、カテーテルの管理、水分のインアウトバランス管理など多くの医療的処置を経験します。
循環器内科で働く看護師は、基礎的な看護技術の習得できるだけでなく、厳密な患者管理も知識として必要です。
看護師として出来ることが増えていくため、看護という仕事に自信をつけられます。
急性期から回復期まで経験できる
循環器内科は心疾患の発症初期から、体調がある程度安定する回復期までが診療の対象です。
看護師も色々な症例を経験できるため、一人として同じ症例はありません。
色々な症例を体験することで、基本的な治療方針や個別の症例ごとの看護を検討もできます。
若手の看護師であればスキルアップにもなり、将来的なキャリアにも繋がるはずです。
看護師としてのキャリアアップに繋げやすい
循環器内科は一般的に同じ医療職からも、「ハードな環境で、看護師はキビキビしている」というイメージを持たれます。
循環器内科で働く看護師は、他科の看護師から見ても「優れた看護師」と思われやすいのです。
もちろん、循環器内科に務めているからといって、必ず優れているわけではありません。しかし、そう思われるほど循環器内科は大変で、かつ学ぶべきことが多い診療科ということです。
循環器内科の看護経験は、次に転職する際もキャリアアップのプラスに働きます。スキルレベルはもちろん、より高い医療水準の病院への転職も目指せるでしょう。
将来的なキャリアアップまで考えているなら、循環器内科での仕事に対してやりがいは更に強くなるはずです。
循環器内科看護師の大変なところ
循環器内科はやりがいとともに、大変に感じることもあります。どのようなところを大変に感じやすいのか、具体的に解説します。
急な心停止が多い
循環器内科は心疾患の方が多く受診・入院するため、危険な不整脈や心停止は他科よりも多いです。
モニターからアラーム音が鳴りだし、確認したらVT・VFが起こっているという経験のある看護師もいるでしょう。
そうした頻度が他科に比べても多いことから、循環器内科で働くには急な心停止が起こりやすいことは覚悟しておくべきです。
自分がそうした場面に遭遇しても対応できるように、緊急時の対応やACLSなどは学んでおく必要があります。
緊急時の対応や素早い判断が苦手な人は、循環器内科は大変だと感じることが多いでしょう。
患者さんの介助が多い
循環器系の疾患の場合は、輸液ポンプやモニターの装着などもあるため、患者さんは自由な行動を制限されます。
看護師は患者さんの不自由を介助する役割もあるため、多くの患者さんを介助するのが大変なところです。
特に心疾患の発症初期・急性期は起き上がりにも制限が掛かるため、看護師からの介助は必須です。
定期的な体位変換や車いすへの移乗、トイレ介助など介助が多く大変に感じることが多いでしょう。
毎日アラーム音を聴くことがストレス
看護師は病棟で日々多くのアラームに囲まれての仕事です。
中でも循環器内科は不整脈や狭心症発作の他、モニターの装着位置のズレでもすぐにアラームが鳴ってしまいます。
常にアラームが鳴り続ける環境にストレスを感じ、私生活でも似たようなアラーム音に反応する方もいます。
また、テレビドラマでも医療ものはアラーム音がつきものですから、更なるストレスになる悪循環です。
日常的に聞こえるアラーム音がストレスになりやすいので、精神的にもタフでなければ大変な仕事と言えるでしょう。
循環器内科とはどのようなところなのか
循環器内科は循環器を対象としていますが、具体的にどこまでは診察の対象なのか見ていきましょう。
循環器外科との違いも解説します。
循環器内科は心臓や血管が対象
循環器内科は循環器、主に心臓・血管、そして水分の排泄と再吸収を司る腎臓までを診療しています。
心臓では大きな括りでは「心疾患」を扱っており、高血圧、心筋梗塞、心不全、狭心症、心臓弁膜症など心臓の器質的な異常が主な対象です。
血管については、高脂血症や動脈瘤、動脈硬化症なども循環器内科の対象として治療します。
腎臓は本来、専門が腎臓内科ですが、心疾患との併発も起こりやすい慢性腎臓病やネフローゼ症候群、加えて水分のインアウトバランスなどが関係するため、診察の対象です。
心臓や血管に関する疾患が全般的に対象であり、学ぶべき範囲は多岐に渡ります。
看護師も心臓の解剖生理、血管の位置や名称、腎臓の知識が必要とされ、命に直結することからプロとして求められるレベルも高いです。
循環器外科との違い
循環器内科という診療科がある以上、循環器外科も存在します。
循環器内科と循環器外科の違い
- 循環器内科・・・疾患の検査と内科的治療をする
- 循環器外科・・・内科的治療が困難なときに外科的な治療で疾患を回復する
循環器内科は一般の内科と同じく投薬やカテーテル、造影検査などをメインで行います。
一方の循環器外科は心臓の手術や血管の形成術などを行い、外科的な治療で疾患を回復することを目的とした診療科です。
治療においては、循環器内科で疾患の検査と内科的治療をし、内科的治療が困難な症例には循環器外科と区別されています。
同じ循環器を診察する循環器内科と循環器外科ですが、扱う疾患と治療方法に違いがある点を理解しましょう。
看護師に求められる役割
循環器内科において、看護師は医師の診察介助や検査、患者さんの介助などを行うことになります。
具体的には、次のような役割を果たす必要があります。
- 心電図検査の介助
- バイタルサインのチェック
- 心疾患発症後のリハビリ介助
- 医師の診察補助、患者さんの情報収集
- 心電図・心エコーの読み取りと医師への報告
循環器内科の看護師は他科の看護師以上に、心電図や心エコーへの理解、バイタルサインへの深い知識が求められます。
循環器内科では心臓や血管が対象となることから、心電図やバイタルサインを鋭く読み解く力が必要です。
基本的な心電図の知識をつけ、心エコーの画像でどの部位を映しているかがわかるようになりましょう。カテーテル治療についても理解が必須です。
また、治療や検査だけでなく、循環器内科や腎臓内科、理学療法士などコメディカルとのチームワークも大事です。
循環器内科の看護師は治療をスムーズに進めるため、中心となって活動する役割がある
循環器内科看護師の一日の仕事
循環器内科での看護師の一日の仕事を確認します。
外来業務と入院病棟それぞれの仕事の流れ、そして給与の状況も解説します。
外来での一日の流れ
循環器内科の外来でのスケジュールを確認してみましょう。循環器内科の看護師は、次のようなスケジュールで一日が流れていきます。
循環器内科外来の一日の流れ | |
8:00 | 出勤・外来準備 |
8:30 | 申し送り・患者受付 |
9:00 | 午前診察開始 |
10:00 | 検査(採血、バイタルチェック等)処置・検査準備 |
11:00 | 心疾患後の生活指導・血糖測定 |
12:00 | 午前診察終了・検査・処置準備 |
12:30 | お昼休憩 |
13:30 | 午後診察受付 |
14:00 | 午後診察開始 |
15:00 | カテーテル検査・治療の説明 |
16:30 | 午後診察終了・カルテ整理 |
17:00 | 退勤 |
循環器内科の外来では、医師の診察補助がメインの業務となり、看護師は検査や処置、患者さんへの生活指導などを行います。
心疾患後は食生活や運動習慣などで生活改善が必要なことから、患者さんとの面談で生活指導も必要です。
また、循環器内科ではカテーテル検査・治療も行われることから、医師に訊けない細かい内容を看護師が説明することになります。
血管を通して心臓までカテーテルを入れることになるため、看護師は患者さんの不安を緩和する柔軟な対応が求められる
病棟での一日の流れ
次に循環器内科病棟での一日の流れについて、大まかな流れを確認しましょう。
入院病棟ではカテーテル検査・治療を行った患者さんの対応もあるため、術後患者さんに近い対応が必要です。
循環器内科病棟の一日の流れ | |
8:00 | 出勤・点滴準備 |
8:30 | 申し送り・病棟ラウンド・バイタルチェック |
9:00 | 担当患者の清拭・入浴介助・点滴交換 |
10:00 | 医師の回診・診察介助 |
11:00 | 術前患者の準備・カテーテル検査・治療への搬出 |
13:00 | 昼休憩 |
14:00 | 病棟ラウンド・カテーテル後の患者迎え・患者介助 |
15:00 | 点滴交換・バイタルや尿性状チェック |
16:00 | カテーテル後のバイタルチェック |
16:30 | カルテ記録 |
17:00 | 退勤 |
他科の外来とほぼ同じ業務内容に加えて、カテーテル検査や治療への患者搬出、心疾患後のリハビリ補助、体位変換などが必要です。
特にカテーテル検査後の患者さんや心疾患の急性期の患者さんは、自由な行動を制限されます。
ベッド上での起き上がりも制限される場合もあるため、看護師による定期的な体位変換が必要です。
時間を正確に把握し、患者さんへの治療がスムーズに進められるよう動く必要がある
給与は他科と同程度
循環器内科の看護師は給与水準において他科と大きな差がなく、求人数は比較的多い職種です。
循環器内科は緊急性の高い症例が多く、病棟看護師の場合は残業が多くなる傾向があります。
そのため、給与水準自体は他科と同じですが、残業手当で平均年収が高くなりやすいです。
多忙さと等価交換の形になるため、体力に自信のある人の方が循環器内科には向いているでしょう。
循環器内科は総合病院であれば多くの病院に配置されており、救急医療との相性も良いことから、年間を通して多くの看護師を募集しています。
看護師は最近のコロナウイルスの影響でどの病院でも人手不足ですから、色々な選択肢から選ぶこともできるでしょう。
看護師としてのキャリアアップ、循環器系への関心の強い方であれば、循環器内科への転職はおすすめ
循環器内科の看護師に求められる・有利なスキル
循環器内科で働くにあたり、看護師に求められるスキルや有利になるスキルを紹介します。
事前に学ぶことで身に付けられるものが多いですから、転職を検討中なら知識をインプットしておくとよいでしょう。
心電図や心エコーを読み解くスキル
循環器内科の看護師にとって、心電図や心エコー検査は日常的に見ているものです。
基本的な心電図の読み方はもちろんですが、心電図の波形からどこにどのような異常があるか、推測できる能力も必要です。
また、心エコーは画像でどの部分を映しているのか、各種数値の正常・異常の判断もできるようになるとよいでしょう。
心臓や血管は命に直結する大事な体の一部ですから、異常を素早く見抜く能力を磨いてください。
検査で正常・異常がわかるようになれば、医師への報告も具体的になり、コメディカルでの連携も取りやすくなります。
バイタルサインのアセスメント能力
循環器内科では血圧や脈拍などのバイタルサインから、身体の異常が発生しているか否かを判断するアセスメント能力も求められます。
循環器だからこそ、バイタルサインへの深い見識が必要となります。
循環器内科ではバイタルサインの変化が急変に繋がる可能性もあり、看護師は自然にフィジカルアセスメントが身に付く環境です。
これから転職を考えている方は、アセスメント能力を鍛えておくことをおすすめします。
循環器系の専門資格
循環器内科の看護師として働くなら、キャリアアップにも有利な専門資格の取得もおすすめです。循環器で有用な専門資格には次のものがあります。
- 循環器専門ナース(臨床心臓病教育研究会)
- 慢性心不全看護認定看護師(日本看護協会)
- 急性・重症患者看護専門看護師(日本看護協会)
- 呼吸療法認定士(医療機器センター)
上記の中でも比較的取得しやすく、循環器のプロフェッショナルとして一定の知識を証明するのが「循環器専門ナース」です。5年以上の看護師経験と、既定の研修会に参加すれば受験できます。
日本看護協会の認定資格は循環器での臨床経験も必要となり、ハードルの高い資格です。
呼吸療法認定士も看護師として2年以上の経験があれば、講習を受講することで受験資格を取得できます。
資格取得によるデメリットもありませんから、循環器内科で働く意欲がある方は目指してみてください。
循環器内科は看護師としての自信がつけられる
今回は循環器内科で働く看護師に焦点を当て、どのような働き方ややりがいがあるのかを紹介しました。
循環器内科は心臓や血管という重要な器官を診療し、緊急性の高い場面にも遭遇しやすい診療科です。 看護師も緊急時の対応能力、アセスメント能力、カテーテルの扱いなどの専門的なスキルと資格が必要とされます。
他科に比べても要求されるスキルが多いので、看護師として多くの経験を積む機会も得られるでしょう。
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