臨床検査技師の給与が安いと感じている方も多いかと思います。「もっと給料の良い職場に転職したい」「年収を今の倍にしたい」など、給与に関しては色々なお悩みがあるはずです。
そこで今回は臨床検査技師が年収1000万円を目指すにはどうすればいいのか、年収アップするためのポイントを紹介します。臨床検査技師の給与にまつわる気になるポイントをまとめましたので、ぜひ最後まで読んでみてください。
臨床検査技師で年収1000万円は実現できるのか?
臨床検査技師として働き、年収1000万円を目指すことは実現可能なのかを解説します。収入を増やす選択肢についても紹介しますから、実践可能な方は試してみてください。
現実的には年収1000万円は難しい
まず初めに知っておくべきことは、臨床検査技師の本業のみで年収1000万円を目指すのはかなり難しいということです。令和2年度の賃金構造基本統計調査の結果からわかることとして、臨床検査技師の平均年収は492万円程度となっています。
つまり、現在の倍の時間働いたとしても、半数以上の臨床検査技師は年収1000万円には届きません。臨床検査技師によっても年収に大きな開きはあるものの、基本的には通常の働き方で年収1000万円を目指すのは非現実的と言えます。
そのため、臨床検査技師として働きながら年収1000万円を目指すのであれば、労働時間に対して給与効率の良い仕事をするか、本業以外での収入アップ方法を考えるのがよいでしょう。
参考:e-Stat 令和2年度賃金構造基本統計調査
本業以外での手当を考えるべき
まずは労働時間に対して給与効率をアップし、毎月の収入を上げる方法を見ていきましょう。病院に勤務中の臨床検査技師であれば、各種手当で収入アップを狙うのがおすすめです。
臨床検査技師にも各種の認定資格がありますから、手当が支給される条件を満たすように資格取得を狙う方法です。資格取得には長期的な学習と努力は必要ですが、一度取得してしまえば一生資格を活用できます。
また、資格取得によって仕事への信頼も高まるとともに、人事考課での評価も高くなる効果が期待できます。資格取得によってスキルアップだけでなく、キャリアアップにも繋げられることから、手当で収入アップを狙う方法はおすすめです。
副業OKなら始めるのも1つの手段
もう1つの手段としては、臨床検査技師としての仕事だけでなく、自宅でできる副業などを始める方法です。こちらは職場の就業規則次第で禁止されていることもあるため、事前に就業規則を確認してください。
就業規則で禁止されていない、または条件付きで許可されているのであれば、職場に相談して本業に支障のない範囲で副業をするのもよいでしょう。
ただし、あくまで本業に支障が出ない範囲で仕事量を抑えることが重要ですから、無理は禁物です。副業に力を入れすぎて本業をおろそかにすると、職場からの評価が悪くなることもあるため注意してください。
臨床検査技師の給与事情
臨床検査技師の給与事情についても確認しましょう。臨床検査技師の給与は高いのか、それとも低いのか、他の医療専門職の給与はどうなっているのかを解説します。
学歴による年収の違いについても解説します。
大卒の方が年収は高い
臨床検査技師になるには3つの選択肢があり、専門学校・短期大学・大学の中から選ぶことになります。短期大学や専門学校では3年間、大学では4年間の養成課程を経て、国家試験に合格することで臨床検査技師の資格を得ることができます。
ただし、3年課程と4年課程ではキャリアアップや給与にも大きく差が出やすく、当然のことながら4年制の大学を卒業したほうが給与もキャリアも上がりやすいです。
そのため、年収アップを考えるのであれば大学を卒業し、大学病院や大規模病院等でキャリアアップするのが最も効率的です。中でも大規模病院は給与が高いだけでなく、大学卒業の優秀な臨床検査技師を求める傾向があります。
優良な就職先の選択肢を増やすという点で考慮しても、大学卒の臨床検査技師の方が年収は高くなるでしょう。
平均年収1000万円を超えるのは医師のみ
臨床検査技師の年収1000万円を目指すためには、他の医療専門職の年収はどのくらいなのか知っておくことも大事です。他の医療専門職と比較して臨床検査技師の給与を割り出せれば、転職先を探す際もおおよその年収が予測できるからです。
令和2年度の厚生労働省の発表を参考にすると、各職種の年収は以下の通りです。
職種 | 平均年収 |
医師 | 1,440万3,200円 |
歯科医師 | 787万5,100円 |
薬剤師 | 565万1,300円 |
准看護師 | 413万100円 |
診療放射線技師 | 548万7,100円 |
臨床検査技師 | 492万7,300円 |
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士 | 418万9,400円 |
歯科衛生士 | 356万1,100円 |
歯科技工士 | 390万1,600円 |
栄養士 | 373万6,700円 |
その他の保健医療従事者 | 426万3,900円 |
医療専門職で平均年収1000万円を超えているのは医師だけで、それ以外では歯科医師でも1000万円には届きません。年収1000万円という壁はそれだけ高く、他の職種でも簡単には超えられないことがわかります。
つまり、医療専門職の中で臨床検査技師の給与が低いということはなく、他の医療職でも年収1000万円を目指すのは困難です。
年収1000万円の臨床検査技師になるには、他の臨床検査技師や医療専門職にない独自の価値を発揮しなければなりません。
参考:e-Stat 令和2年度賃金構造基本統計調査
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&query=%E7%B5%A6%E4%B8%8E%E3%80%80%E8%87%A8%E5%BA%8A%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E6%8A%80%E5%B8%AB&layout=dataset&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001152186&tclass2=000001152187&tclass3=000001152191&stat_infid=000032069431&cycle_facet=tclass1%3Atclass2%3Atclass3%3Acycle&tclass4val=0&metadata=1&data=1
夜勤のない病院や施設では収入ダウンも
病院に勤務する臨床検査技師の場合、基本的には夜勤ありの勤務形態になります。病院によっても夜勤手当の支払い方式は変わりますが、総じて日勤よりも1回あたりの給与は高いです。
病院によっては夜勤1回で1~2万円の手当が支給され、臨床検査技師の給与アップに大きく関係しています。しかし、クリニックや検診センターなど病院以外の職場では、夜勤がないことから、給与が大きく減少します。
臨床検査技師は検診センターやクリニックに勤務する方も多く、こうした方は夜勤がないせいで平均年収を下回っていることも少なくありません。
そのため、給与アップを目指すのであれば夜勤のある病院に勤務し、長年勤めてキャリアアップを目指すのが収入アップのポイントです。ただし、夜勤は2交代制を採用しているところも多く、多くの体力を必要とするだけでなく、大きな責任も伴います。
給与アップのために病院で働く場合には、体調管理をしっかりと行い、責任感を持った仕事をすることが求められます。
臨床検査技師が年収1000万円を目指すうえでやるべきこと
臨床検査技師でも年収1000万円を目指すことは可能ですが、そのためには押さえておくべきポイントがあります。どのようなポイントがあるのか、それぞれ解説します。
管理職や役職に就く
1つの職場で長く働き続けるのであれば、スキルを磨くとともにキャリアを積んで管理職や役職を目指しましょう。管理職になることで手当が支給されたり、給料の号俸が上がったりするため、給与アップに直結します。
特に検査部門の技師長クラス以上になれば、大幅な給与アップが期待できます。また、病院によっては検査技師長以上になると経営に関係することもあり、事務長などの役職が与えられる病院も少なくありません。
経営に関係することで役員報酬も発生するため、本業にプラスして収入源にできます。通常業務に加えて採用人事や人事異動などの事務仕事も増えますが、その分大幅な収入アップに繋がるでしょう。
もちろん、臨床検査技師として経験が浅く、実績もないうちは管理職や役職が与えられることはありません。1つの職場で長く働くことと、職場から必要とされる人材になることが大前提です。
年収1000万円を目指すのであれば、臨床検査技師として豊富な経験を積み、職場からの信頼を得ることが重要です。
認定資格を取得して給与アップを狙う
臨床検査技師は国家資格ですが、病院や検診センターには多くの臨床検査技師が集まっています。その中で年収1000万円を目指すのであれば、エキスパートと認められる資格を取得することが1つのポイントです。
職場によっても資格手当が支給される条件、金額は異なりますが、資格手当が反映されれば年間でも大きな収入アップになるでしょう。
臨床検査技師が資格手当を支給されやすい資格としては、以下のものが代表的です。
- 細胞検査士
- 超音波検査士
- 一級臨床検査士
- 認定輸血検査技師
- 緊急臨床検査士
上記のエキスパート資格の中でも、「細胞検査士」「超音波検査士」「一級臨床検査士」はスキルアップと給与アップだけでなく、転職活動でも有利になる高度な資格です。
管理職を目指すなら一級臨床検査士、検診センターや医療機器メーカーで働くなら超音波検査士、遺伝子検査やがん細胞の細胞診を行うなら細胞検査士がおすすめです。
臨床検査技師にも分野がそれぞれありますから、専門分野に特化することでキャリアアップと給与アップが期待できます。給与だけでなく、スキルアップとやりがいを高めるためにも資格取得を目指してみてください。
営利法人の病院や企業に転職する
病院や施設には営利法人と非営利法人があり、年収アップを目指すのであれば営利法人を選びましょう。営利法人とは、営業で得た利益を社員や株主などに分配することを目的とした法人で、株式会社が代表的です。
病院や施設でも営利法人が運営するところがあり、非営利法人とは経営面で大きな違いがあります。営利法人で働く社員にとって最も大きな違いは、法人が利益を上げれば給与に直結する点です。
営利法人は利益が出れば社員にも給与やボーナスとして利益が還元されるため、毎年の成果に応じて大幅な昇給が期待できます。通常の病院では個人の働きが給与に反映されにくく、給与面では大幅な昇給はまずありえません。
その点でも営利法人の病院や企業に転職すれば、仕事での成果が報酬に直結する点はモチベーションになるでしょう。今後転職先を探す予定の方は、年収アップのために営利法人の病院やクリニック、企業という選択肢も含めて検討してみてください。
まとめ:臨床検査技師で年収1000万円を目指すには就職先選びも重要
臨床検査技師の仕事は非常に専門性が高いですが、他の医療専門職と比べても平均的な給与水準です。通常の臨床検査技師業務を行っていても、そのままでは年収1000万円を実現するのは困難です。
年収1000万円を実現するには1つの職場に長く勤めるとともに、エキスパート資格を取得し、多くの実績を積み上げて役職に就くことが重要になります。
エキスパートの資格は転職でも有利に働きますから、転職による年収アップを狙うなら資格で優遇される職場を選びましょう。年収1000万円を超えるのは簡単ではありませんが、実際に達成している臨床検査技師もいます。 どんな資格を取得するのか、どんな働き方をするのかを考えるとともに、今よりも年収アップに繋がる優良な就職先選びを慎重に行ってください。