医療技師の転職

臨床検査技師は将来性が不安?取り巻く現状と今後の需要はどうなるか

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近年、医療分野でもDX(デジタルトランスフォーメーション)やAIの進歩は凄まじく、医療機関でもスタッフの負担を軽減し、業務の効率化のためにデジタル化の波は進んでいます。

その影響で検体検査などを行う臨床検査技師の仕事は需要が減り、将来的に必要とされなくなる恐れがあると言われています。

そのため、これから臨床検査技師を目指す方や現在活躍されている方でも、「このまま臨床検査技師を続けていいのか」「将来仕事がなくなるかも」と不安に思う方もいるはずです。

では、実際に臨床検査技師は将来が危ういのか、臨床検査技師を取り巻く現状について詳しく紹介します。

なぜ臨床検査技師の将来は不安視されているのか?

なぜ臨床検査技師の将来性が不安視されているのか、その点について詳しく紹介します。臨床検査技師の仕事は他の医療職と違う点を持つことが影響しています。

DXによる検査業務のオートメーション化

一昔前までは電子カルテではなく紙カルテで検査オーダーのやりとり、検体の運搬も人間が行っていました。現在では電子カルテ上でのクリック一つでオーダーでき、検体も運搬用のエレベーターなどに乗せるだけで簡単に運搬できます。

また、検査も人の技術に関係なく、検査機器に検体をセットして設定を行えば結果が出るため、ある程度の専門知識があれば業務は可能です。DXが進むことで業務が効率化されてきた反面、少ない人員でも業務が可能になりました。

最近では生化学検査から免疫検査がオートメーション化されているだけでなく、測定結果の認証までAIが判断できる技術も生み出されています。これまでは人の経験を基に判断していたものが、AIによって客観的な基準に基づいて判断できるようになりました。

検査業務に割く人員が少なくなることから、臨床検査技師の仕事への将来性が不安視されています。

資格保有者が多いため供給過多になる

臨床検査技師の仕事の将来性が不安視される別の理由として、資格保有者の増加による需給バランスの崩壊もあります。過去2年ほどの臨床検査技師試験の合格率は2021年が80.2%、2022年は75.4%です。

受験者の多くが合格する試験となっており、資格保有者数の増加と共に需給バランスの崩壊が不安視されています。臨床検査技師の働く場所は病院の検査室や生理検査室、健診センターでの採血やエコー検査などが主です。

そのため、看護師のように各病棟で数十人の人員が必要な仕事に比べ、一定の人員が確保できれば需要が少なくなります。このような背景もあって臨床検査技師が供給過多となり、将来的に必要とされなくなる点が不安要素のようです。

参考:厚生労働省 第68回臨床検査技師国家試験の合格発表について

https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2022/siken07/about.html

医療の標準化によって求められるレベルが高まっている

医療の業界は世界的にも標準化が進められており、どの医療機関でも一定の医療水準が求められるようになっています。臨床検査技師の業界でも標準化の影響を受けており、検査には一定の水準が求められます。

マニュアルがしっかりと整備されていれば問題はありませんが、臨床検査技師の技量によるところの多い検査では一定の技術が必要です。

特に細胞診検査やエコー検査、心電図検査などは測定結果の読み取りに熟練の技術が必要であり、臨床検査技師に求められるレベルは高くなっています。

経験の浅い臨床検査技師が転職をする場合には、自分の得意とする分野や保有する資格を明示し、転職先にアピールすることを求められるでしょう。

臨床検査技師の需要がなくなる可能性は低い

ここまで解説してきたように、臨床検査技師の仕事が将来なくなる不安要素があることは確かです。ですが、実際のところ臨床検査技師にしかできない仕事もあることから、需要がなくなる心配はいらないでしょう。

臨床検査技師の仕事は検体検査だけでなく、生理学的検査(心電図・エコー・脳波など)や採血、最新医療機器の開発や新薬開発など幅広く需要があるからです。

また、多職種連携でのチーム医療が医療機関では必須なので、臨床検査技師の視点でチーム医療に貢献することも必要な役割です。DXやITが進歩したとしても、臨床検査技師として人の手が必要な部分は依然として存在し、むしろ専門性が高まっていくでしょう。

そのため、臨床検査技師の将来性を悲観することはありません。

臨床検査技師に今後求められるスキル・能力とは?

臨床検査技師に求められるスキルや能力とは何か、身に付けておきたいものを紹介します。これから臨床検査技師になる方、転職を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

エキスパート資格を取得する

臨床検査技師の資格以外にも、専門性を高めるエキスパート資格の取得が有効です。エキスパート資格を取得することで給与アップはもちろん、転職やキャリアアップの観点からも資格を有効活用できるため、取得を目指すとよいでしょう。

エキスパート資格の代表的なものとしては、次のものがあります。

  • 一級臨床検査士
  • 超音波検査士
  • 細胞検査士
  • 認定輸血検査技師
  • 消化器内視鏡技師

上記の中でもオールマイティに活躍できる資格なら「一級臨床検査士」、細胞診検査を専門的に行うなら「細胞検査士」、検診などでエコーを専門とするなら「超音波検査士」がおすすめです。

輸血関連の業務を専門にするなら「認定輸血検査技師」もおすすめです。臨床検査技師として専門性を高め、長く活躍するならエキスパート資格の取得を目指しましょう。

臨床検査技師以外の国家資格を取得する

臨床検査技師の資格だけでは不安のある方は、臨床工学技士資格を取得するのもおすすめです。臨床工学技士は医療機器の設定やメンテナンスを行う技術者で、医療機器と深い関わりのある臨床検査技師とは親和性の高い資格です。

また、転職においては医療機器メーカーでアプリケーションスペシャリストになる場合、臨床工学技士の資格を保有していると採用されやすくなるでしょう。

アプリケーションスペシャリストは医療機器の専門性に特化する必要があり、臨床検査技師の経験と臨床工学技士の知識があれば、活躍のフィールドが広がります。

医療機器メーカーへの転職を考えるなら、臨床工学技士資格の取得も選択肢の1つと言えます。

動物医療に関する知識を学ぶ

実は臨床検査技師の検査対象は人間だけでなく、犬や猫といった動物も対象になります。動物に使用される薬剤は人間と共通する成分も多く、検体検査においても動物を対象とするケースが多いです。

現代では多くの家庭で犬や猫などのペットを飼っており、動物病院に通院するケースもあるため、動物の検査に関する知識を持っていると働く分野を広げられます。ある程度大きな規模の動物病院であれば、専門の臨床検査技師を雇用していることもあります。

ペットブームの中で動物医療も進歩していますから、臨床検査技師の新たな活躍の場になっていくでしょう。

エコー検査の技術を磨く

医療機関や検診センター、医療機器メーカーで活躍したい方の場合は、エコー検査の技術を磨くのがおすすめです。エコー検査は頸部や腹部、心臓など色々な部位に対して行うため、専門性を高めることでどのような診療科でも働けるようになります。

また、健診センターで働くならエコー検査の技術は必須レベルですから、技術を磨けば転職先の選択肢も広がるでしょう。医療機器メーカーでも新製品の開発や医療者への説明など、エコー検査の知識がなければ説明しにくい場面も多いです。

臨床検査技師としての将来性を考えるのであれば、エコー検査の技術を磨くことが大切です。

臨床検査技師の需要が高い職場で働くのがおすすめ

臨床検査技師が働く場所で、まず多くの方が思いつくのは病院です。ですが、病院以外にも臨床検査技師が必要とされる職場は多いので、どのような就職先があるのか見ていきましょう。

臨床検査センター

病院よりも高度で特殊な検体検査が集まり、多くの臨床検査技師を必要とするのが臨床検査センターです。臨床検査センターは病院でできない特殊な検査やPCR、細胞診検査、遺伝子検査などを専門的に行う機関です。

病院の検査室と同様に検査を行う点は変わりませんが、より高度な専門性が要求されます。オートメーション化された部分は機械に任せられますが、人の手が入る部分は臨床検査技師の仕事になります。

臨床検査技師として専門性を高めたい方やスキルアップしたい方は、臨床検査センターで働くのがおすすめです。

健診センター

健診センターも求人数は多くありませんが、臨床検査技師を必要としています。健診センターの規模によって施設内で検体検査を行うタイプと、外部に検査を依頼するケースがあります。

臨床検査技師の仕事は検体検査だけでなく、心電図やエコー検査も業務範囲です。特にエコー画像の読影は専門性が高く、健診センターでは必要な能力とされます。

エコー検査の技術と読影が得意な方は、健診センターで臨床検査技師として働くのもおすすめです。

医薬品メーカーや治験機関

医薬品メーカーや治験機関では、臨床開発モニターや治験コーディネーターとして働く選択肢があります。新薬開発における計画の調整役や医療者と被験者のマネジメントを担当する仕事で、医療関係に精通している方に向いています。

臨床検査技師として検査に直接関わることはありませんが、医療機関での勤務経験を活かしやすく、被験者とのコミュニケーションが重要な仕事です。

コミュニケーション能力に自信があり、直接患者さんと関わる仕事がしたい方は医薬品メーカーや治験機関で働くのもおすすめです。

医療機器メーカー

医療機器メーカーの臨床検査技師は、医療機関で使用する心電図やエコー検査機、検体検査機などのデモンストレーションや開発、営業の補佐を担当するのが仕事です。

検査と直接関わるのではなく、検査を行う機器に関わる仕事ですから、医療機器に関心の高い人におすすめできます。一般企業に勤務することになるため、仕事は日勤のみでワークライフバランスも良い職場です。

企業の利益に貢献できれば、その分給与も高くなることが期待でき、仕事へのやりがいも高い職場と言えるでしょう。

まとめ:将来性はあるが専門性を高める努力も必要

臨床検査技師の将来性を不安視する方もいますが、悲観するほどのマイナス要素はありません。一方でDXやITの進歩によって機械化できる業務は分担され、臨床検査技師には高い専門性が求められるようになっています。

臨床検査技師がこれからも活躍していくには、新しい医療技術を学び続けるとともに、それぞれの専門分野を追求していくことが必要になるでしょう。

過度に不安視する必要はありませんが、時代の流れについていくために学習を続けることが重要です。臨床検査技師として長く活躍するためにも、自分の得意分野や専門性を磨き、機械化されても必要とされる技術を身に付けていきましょう。

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