「歯科衛生士を辞めたい」
「歯科衛生士にならなきゃよかった」
そんな気持ちで仕事をしている歯科衛生士の方も少なくはありません。
国家資格に合格をして晴れて歯科衛生士となったのに「辞めたい」「ならなきゃよかった」と思ってしまう理由を歯科衛生士の退職理由から探っていきます。
そして、ここで一つのポイントとなるのが“職場を辞めたい”のか“歯科衛生士を辞めたい”のか。
歯科衛生士の職場選びのポイントを紹介していくとともに、歯科衛生士を辞めたあとのキャリアプランについても紹介していきます。
歯科衛生士としての働き方に悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
「歯科衛生士なんてならなきゃよかった」なぜ離職率が高いのか?
歯科衛生士は離職率が高いと言われていますが、どの程度の離職率なのかを日本歯科衛生士会の調査から確認してみましょう。
【勤務先の変更経験】
参照:日本歯科衛生士会『令和2年 歯科衛生士の勤務実態調査報告書』
令和元年のデータでは勤務先の変更経験(転職)がある人は76.4%であり、約8割の歯科衛生士が転職をしていることが分かります。
常勤だけでは66.2%、非常勤では91.3%もの歯科衛生士が転職をしており、転職回数も1回だけでなく複数回の転職を繰り返す人が多いので離職率が高いと言われることにも頷けます。
歯科衛生士の主な退職理由
では、なぜ歯科衛生士は離職率が高いのでしょうか?
歯科衛生士の退職理由を日本歯科衛生士会の調査から探っていきたいと思います。
【勤務先を変わったことがある人の勤務先変更の理由(複数回答)】
参照:日本歯科衛生士会『令和2年 歯科衛生士の勤務実態調査報告書』
- 結婚(29.3%)
- 経営者との人間関係(29.0%)
- 出産・育児(28.7%)
- 給与・待遇の面(22.3%)
- 仕事内容(22.0%)
- 勤務形態・勤務時間(19.5%)
- 仕事内容のレベルアップのため(15.9%)
歯科衛生士は女性が多い職種のため、結婚や出産・育児といったライフステージの変化による退職が多い傾向にありますが、常勤で働く歯科衛生士の退職理由を見るとTOP3は「経営者との人間関係(31.5%)」「給与・待遇の面(29.2%)」「仕事内容(26.4%)」と職場への不満からの転職が多くなっています。
こんな職場は辞めるべき!辞めたほうがいい職場の特徴
歯科衛生士として働いているなかで、どのようなことにストレスや不満を感じている人が多いのでしょうか。
歯科衛生士の離職率の高さにも関係しているであろう“辞めるべき職場”を紹介します。
パワハラ、モラハラが日常
個人経営の歯科医院が多いため、院長の機嫌に振り回される、パワハラ、モラハラ、セクハラを受ける、相性が合わない、考え方についていけない‥など院長次第で職場の雰囲気が大きく変わる環境にある。
職場の人間関係が最悪、成長できない
歯科衛生士は女性が多い職場であり、個人経営の歯科医院ではスタッフの人数も少なく閉鎖的になりがち。
また、子育てが落ち着いてから職場復帰をするベテラン歯科衛生士からの嫌がらせなど院長に限らず職場の人間関係に疲弊する人が多い。
人手不足の状態が続く歯科医院では新人歯科衛生士への教育やフォローをする余裕がないため新人は不安を感じやすい。
忙しすぎる
歯科衛生士の人数が足りていない職場では1人への負担が大きく、仕事量が多くなってしまうため休憩時間を削らなければ手が回らないことも。
待遇が悪い
個人経営の歯科医院では社会保険の加入規定に当てはまらず、社会保険なし、福利厚生も殆どなしのところが多い。
年金は個人で加入、健康保険は歯科医師国保に加入するケースが多い。
結局の所、職場次第!
明らかに酷い扱いを受けているのに感覚が麻痺してしまい辞めずに留まってしまう人、責任感から辞められない人、仕事を辞めることに不安を感じる人など、辞めたいと思っていても行動に移せない人も少なくはないはずです。
無理をし過ぎると心が病んでしまう可能性もあるので、自分のために一歩を踏み出すことが大切です。今すぐにでも辞めるべき職場は存在します。おかしいと思ったら職場の人以外に相談しましょう。
歯科衛生士を辞めたらどうする?退職後のキャリアプラン
歯科衛生士の転職は、職場を変え歯科衛生士として働き続ける場合と歯科衛生士以外の仕事に就く場合に分けられます。
仕事を辞めたい理由・次の職場に望むことを明確にしておき後悔のない転職としましょう。
歯科衛生士のまま職場を変える
歯科衛生士の転職のひとつには、歯科衛生士のまま別の職場に転職する方法があります。
先述の通り、歯科衛生士は職場の人間関係を理由に転職をする人が多いです。
職場を変えることでストレスがなくなり、理想的な働き方を手にする人も少なくはありません。
歯科衛生士の職場と言えば歯科医院や歯科クリニックなどの診療所が9割を占めますが、診療所以外でも歯科衛生士の資格を活かして働くことが可能です。
職種を変える(異業種異職種)
歯科衛生士のネクストキャリアには、テ科衛生士を辞めて一般企業で働く手もあります。
ただし、歯科衛生士は専門職であることから、他職種では“未経験者”となるため思うように転職活動が進まない可能性も。
その際は、歯科衛生士の知識を活かせる歯科関連企業・メーカーがおすすめです。
歯科衛生士が一般企業を目指す際は、まずはリクルートなどの大手転職サイトを利用することをおすすめします。
求人数を豊富に扱うサービスのほうが、条件に合った求人とマッチしやすいでしょう。
歯科衛生士は常に人手不足の状態が続いているため、一度他職種へ転職をしてもまた歯科衛生士として戻りやすいです。
1度、勇気をもって興味のある仕事にチャレンジしてみるのも◎
歯科衛生士|失敗しない職場選びのポイント!
全国歯科衛生士教育協議会の調査によると、新卒時(令和4年度)の有効求人倍率は23.3倍と歯科衛生士1人に対して23院の求人があることを意味します。(*)
歯科医院の数はコンビニよりも多いと言われるほど多くあり、歯科衛生士は職場を選び放題と言っても過言ではありません。焦らずにしっかりと時間をかけて職場選びをすることが大切です。
まずは自己分析の一環として、働くうえで重視したい条件を挙げていきその条件に優先順位をつけていきます。
例)①月給○○万円以上 ②人間関係 ③勤務地(自宅から30分以内) ④仕事内容(予防歯科に携わりたい) ‥など
すべての希望条件にマッチした職場に巡り会うことは難しいかもしれませんが、あなたが絶対に妥協したくない条件を軸に職場選びをしていくと良いでしょう。
*参照:全国歯科衛生士教育協議会の調査『歯科衛生士教育に関する現状調査の結果報告』
職場選びのポイント
- 給与、福利厚生などの確認
保険は?福利厚生は?労働時間と給与のバランスは?有給は取れる?
- 診療内容の確認
あなたは歯科衛生士としてどんな仕事がしたいですか?興味のある分野は?今後のキャリアプランは?
- 教育制度は整っているのか
歯科衛生士としてスキルアップ、キャリアアップができる環境なのか?
- 院長やスタッフの人柄
Googleなどの口コミや面接時に院内の雰囲気をチェック
求人票だけでは分からない職場の雰囲気や人間関係を事前に確認するためには職場見学が有効です!
また、より詳細な内部情報を事前にチェックしたい人や自分の希望に合った求人の紹介を受けたい人は歯科衛生士専門の転職支援サービス(転職エージェント)がおすすめ!
【まとめ】歯科衛生士を辞めたい人は”転職してしまう”のも手
歯科衛生士の離職率、退職理由、辞めたほうがいい職場の特徴など、歯科衛生士の退職や転職について紹介してきました。
仕事を辞めたいと思うことは悪いことではなく、自分のために仕事を辞める選択をすべきときもあります。
今後のキャリアに悩んだときは転職エージェントを上手に活用して、自分らしく働ける環境に導いてもらうのも一つの方法です。