「大学中退をしたらその後の人生どうなるんだろう」
長引くコロナ禍では、様々な理由から大学を中退せざるを得ない方もいらっしゃいます。
大学中退予定やすでに大学を中退された方は、その後の進路・人生に不安を感じている方もいるでしょう。
大学中退は人生の大きなターニングポイントのひとつなので、中退してよかったという方や後悔する方もいます。
大学を中退すると就職が難しかったり、その後の人生に影響するなどと言われたりすることもありますが、中退してよかったと夢を実現されている方はたくさんいます。
今回は、大学中退の現状やその後の進路、大学中退後の対策について紹介します。
大学中退予定の人や大学中退した人は、ぜひ参考にしてください。
大学中退者の現状
文部科学省は2022年3月1日に『学生の修学状況に関する調査の結果』を公表しました。
全国の国公私立大学(短期大学を含む)及び高等専門学校を対象に調査した結果では、大学を中退した方は、令和3年度は令和2年度に比べて増加傾向にあることがわかりました。
また新型コロナウイルス感染症を理由に中退された方は前年同時期の約1.4倍となっていることがわかりました。
参照:文部科学省 学生の修学状況(中退者・休学者)に関する調査
https://kouyouren.jp/wp-content/uploads/2022/03/20220301-1.pdf
なぜ中退したの?大学中退の理由
大学中退を選択する方の背景は様々ですが、R2中退者数の内訳(大学)をみると以下のような理由があげられています。
参照:文部科学省 新型コロナウイルスの影響を受けた学生への支援状況等に関する調査
https://www.mext.go.jp/content/20210216-mxt_kouhou01-000007001-1.pdf
- 学生生活不適応・就学意欲低下(18.3%)
- 就職・企業等(14.1%)
- 転学等(12.9%)
- 海外留学(0.7%)
- 病気・けが・死亡(3.8%)
- 心神耗弱・疾患(4.0%)
- 経済的困窮(19.3%)
- その他(17.5%)
- 不明(2.4%)
学費が払えなくなった、働いて生活費を稼がなくてはいけなくなった等の経済的な理由で大学中退する方は全体の19.3%と高い割合を占めています。
また、アルバイトや遊びなどで学業への意欲低下した方やほかにやりたいことや夢が見つかった方、海外留学のためアルバイトや就職を選択した方もいらっしゃいます。
入学前に思い描いていた勉強ができなかったとミスマッチを理由に退学し、他の大学や専門学校に転学する方も少なくありません。
大学中退で感じる2つの不安
どんな理由があっても大学を辞めた後、これからどうなるのか不安になりますよね。
大学を中退された方は、以下のような不安を抱えています。
大学中退後の生活費をどうしよう…
大学の学費が払えなくなった、家庭を支えなくてはならなくなった等の経済的事情で中台された方は、金銭面での不安が大きいでしょう。
特にコロナ禍では、学費を払っていた大黒柱である父親が仕事を失い、これまで通りの生活ができなくなってしまった方もいらっしゃいます。
学費が払えないどころか、自分が仕事をして家族の生活費を稼がなくてはいけないケースもあります。
どうすれば収入を得られるのか考え、中退後すぐに行動する必要があります。
“大学中退”のレッテルが怖い…
大学を中退した後、転学や留学以外では生活のために働く方が多いかと思いますが「中退はその後の人生のハードルが上がるのではないか?」と不安を感じている方が多くいます。
また、勉強を頑張ってせっかく大学に入学したのに退学してしまうことや、入学金や学費を出してもらった親への罪悪感を持つ方もいらっしゃいます。
中退は失敗だった…と感じる大学中退者の後悔とは?
このような不安を感じながら大学を中退された方の中には、その後に夢を実現した方もいらっしゃいますが「やっぱり中退するんじゃなかった」と後悔する方も少なくありません。
その後悔の大きな理由は、就職活動で感じるデメリットからです。
求人が限定され就職しにくい
大学を中退すると最終学歴は“高卒”となるので、大卒に限定している求人は応募することができず求人数自体が少なくなります。
また、経済的・病気などやむを得ない理由以外では、企業にどうしてもネガティブな印象を与えてしまいまうでしょう。
スムーズに大学を卒業し就活をしていた人に比べると、就活のハードルは高くなり仕事の選択肢が狭まるケースもあります。
面接で大学中退の理由を聞かれると答えにくい
“大学中退”の理由は就活では必ず聞かれます。「やりたいことや夢を選択した」「家族の事情」など明確な理由があれば大きなマイナス要素にはなりません。
しかし大学中退後に遊んでいた、ブラブラ過ごしていたという場合はとても答えにくく、大学をスムーズに卒業していれば中退の理由に悩まなくてもよかったのに…という後悔に繋がっています。
大学中退のその後の行動やどう過ごしていたか、またそれを企業へどう伝えるかが大切になるでしょう。
ネガティブにならないような中退理由を考える必要があります。
大学中退=ネガティブなイメージ
“大学中退”のレッテルは就職活動で痛感する方が多いです。
就職活動では「就職してもすぐ辞めてしまうのではないか」「物事が続かない性格なのか?」と企業が懸念を抱く可能性があります。
また、それを実際に採用担当者から指摘されるケースも少なくありません。
大学中退の学歴だけでなくその背景や性格へのレッテルを貼られ、大学中退へのネガティブなイメージから後悔することもあります。
大卒>高卒扱い…給与が低い
大学中退後、無事就職できたとしても大卒者に比べると給与が低くなる傾向です。
大学中退者は高卒扱いでの応募になるためですが、大卒の友人の給料を見て本来ならこれくらい貰えていたのに…と後悔してしまいます。
では実際にどれくらいの給料になるのか、次項でみていきましょう。
大学中退者の給料事情
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」第3図 学歴、性、年齢階級別賃金をみると、大学中退者の給料は大卒者と比べて低い傾向であることが分かります。
第3図 学歴、性、年齢階級別賃金
参照:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/index.html
男女ともに学歴別の賃金をみると、最終学歴が高卒になる場合が最も低い賃金になっていることが分かります。
また、生涯賃金を考えると大卒者では約2億5千万~約2億円といわれる一方、大学中退者(高卒扱い)はそれよりも約5,000万円低いといわれています。
昔に比べると学歴よりも個人のスキルを重視されるようになりましたが、収入が学歴に影響しているのは事実です。
大学中退者は中退した後の将来を考え決断、また収入差を縮める努力が必要ということになります。
大学中退後の進路・人生はどうなる?
では、具体的に大学を中退された方はどのような進路を歩んでいくのかみていきましょう。
すぐに就活を始めて正社員になる
経済的な事情がある方は、生活のために早くに就職し収入を得ようと考えます。大学中退後、アルバイトをしたり、正社員を目指して就職活動に取り組んだりなどです。
大学中退者を対象にしたインターンに参加することで、即戦力となるスキルや知識を身に付け正社員就職につなげる人もいらっしゃいます。
ブランクを埋めるために勉強し就職する
大学中退後、他の学部や専門学校に転学したり資格取得を目指したりする人もいます。
学歴のブランクを埋めたり、就活で有利になるため・やりたい仕事に就くために資格取得を目指している方が多いです。
何もせずに過ごして就職のチャンスを逃す
就職や就職のための準備をせずに、将来について不安を抱き、自宅でひきこもる人やまだ若いから大丈夫と遊んでしまう人もいます。
気付いたときには就職できない状況に陥っていた…とさらに後悔が深まるケースがほとんどです。
大学中退後の後悔を減らしたい!できる対策とは?
大学中退後の後悔を少なくするには、できるだけ早く就職活動を行ったり、就職に役立つ資格取得を目指したり、就職に向けた準備をすることが大切です。
では、大学中退後の具体的な対策をみていきましょう。
ブランク期間はできるだけ短く!
大学を中退すると、最終学歴が高卒となり求人が少なく就職活動は難航する傾向です。
「高卒以上」「学歴不問」といった応募条件の求人を見つけなくてはいけません。
さらに企業からは大学中退=ネガティブなイメージをもたれやすく、中退後からのブランク期間が長過ぎるとさらに印象は悪くなってしまいます。
大学中退してからすぐに行動できなかった方は、そのままズルズルと就職できないままの方もいらっしゃるでしょう。
就職を考えているならブランク期間はできるだけ短くし、働く意欲があることをアピールすることが大切です。
特に経済的な事情があり中退した場合は、すぐに就活に取り組み行動している姿は高く評価されます。
動き出すタイミングがなくブランクが長くなってしまった方は、空白の間に何をしていたかがポイントになります。
例えば、就職に向けての情報収集や学習、アルバイトなどに取り組み「計画性のない人ではないか?」という企業の懸念を少なくするようなアピールを伝えることが重要です。
大学中退の理由はポジティブに!
就職活動での面接では自分の学歴について、正直に伝える必要がありますが、“大学中退”というとネガティブに捉えてしまいがちです。
しかし、転職活動で前職を退職した理由を伝える際と同様に大学中退の理由はできるだけポジティブに話すことがポイントです。
大学中退の理由を例にすると、
父親の会社が倒産し、大学の学費が払えなくなったので、働かなくてはいけなくなりました。
家庭の事情により学費の継続が難しくなり大学を中退する選択をしました。4年間学べなかったのは辛い気持ちもありましたが、心理学を学んだ経験は接客業における顧客の購買意欲向上に活かせると思い御社を志望しました。中退してしまいましたが、大学で学んだコミュニケーションスキルを活かしお客様に喜んでいただける接客を心がけます。
というように、中退はしたけれど身に着けた知識やスキルを活かして企業に貢献したいことをアピールすれば入社意欲を強く訴えることができます。
ネガティブなことをそのまま伝えるより、「そこから何を学んだか・どんな努力をしたか」のポジティブ要素を付け加えることで、就職への意思や前向きさが伝わるからです。
企業側としても“前向きに努力する人材” “自ら工夫をして壁を乗り越えられる人材”と評価も高くなります。
大学を中退したことが採用のマイナス要素になるのではなく、その説明の仕方で面接評価されるということを覚えておきましょう。
空白期間をマイナスにしない!
大学中退後の就職活動だけでなく転職活動においても不利になりがちな、空白期間。
こちらも大学中退の理由と同様に、ネガティブなイメージを払拭しポジティブにアピールする必要があります。
大学中退後に資格取得を目指し勉強されていた方は、それが就職先に活かせる資格であればプラス要素になりやすいですが、問題なのはアルバイトやニートを続けていた方。
「中退してから就職活動を始めるまで何をして過ごしていたか」は必ず聞かれる質問なので、しっかり答えられるように準備しておかなければいけません。
大学中退後、アルバイトをしていました。
家計が苦しかったのでアルバイトをしながら生活費を入れていました。ですが、アルバイトは収入や将来も不安定なので不安になりちゃんと就職したいと思いました。
このように、空白期間をそのまま伝えるだけでなく、将来をしっかり考え就職を決断したことを伝えるのが大切です。
また、家族の介護やご自身の病気の療養などで空白期間のある方はそのまま伝えても問題ありませんが、現在の状況で働いても問題がないことを伝えましょう。
求人の狙い目は「学歴不問」「未経験者OK」「高卒以上」
大学中退後に求人を見ると、様々な求人情報を目にします。
「中退しても仕事なんていっぱいあるじゃん」と思ってしまいがちですが、大学中退者は中途採用枠で就職活動を行う必要があります。
中途採用枠では社会人として働いてこられた方がライバルになるため、即戦力を求める企業に応募しようとしても経験がない大学中退者はどうしても不利になりがちです。
「学歴不問」「未経験者OK」「高卒以上」の求人を掲載している企業は、若い人材をイチから育てたい・自社色に染めたい・若い人の可能性を高めたいという想いをもっている企業が多いことが特徴です。
そして人材育成への前向きな取り組みや、セミナーや研修を積極的に開催している企業が多いので、入社後にスキルアップすることが可能です。
このような企業では大学中退であっても、ポテンシャルを評価され採用される可能性が高いでしょう。
就職エージェントを味方にしよう!
新卒の就活では大学の就職課やキャリアセンターで就職のアドバイスやサポートをしてくれますが、大学中退者は、相談できる人がいないため挫折しやすいことがデメリットになります。
1人で就職活動を進めていても、何が正解なのか分からないまま不安を抱えている方が多いのが現状です。
そして分からないまま就職し、気づけばブラック企業…退職もできないといった末路を辿るリスクもあるでしょう。
不安なく就職活動を進めたい方は、大学中退者や職歴に自信のない方の就職に強い就職エージェントを利用することも選択肢のひとつです。
就職・転職のプロがアドバイザーとしてつき、キャリアプランをいっしょに考え、あなたに合った会社の提案をしてくれるのでミスマッチがないことが特徴です。
また、履歴書の書き方や面接対策など1人では分からないことも丁寧にアドバイスしてもらえるので内定率も高くなるでしょう。
若手の人材育成に力を入れている企業や就職エージェント独自の求人や非公開求人も保有しているので、思いもよらない企業や高待遇での就職も夢ではありません。
大学中退後の不安や相談もサポートしてもらえるので、あなたの心強い支えに!
大学中退してよかった!後悔していない人の声
ここまで大学中退者の現状や不安な将来について多く述べましたが、「大学を中退してよかった」と大学中退を人生の糧にされている方も少なくありません。
また「もっと早く中退を決断していればよかった」と思う方もいらっしゃいます。
なぜ大学中退を公開していないのか、その理由をみていきましょう。
キャリアプランが明確になった
大学中退を後悔していない人は、大学で将来について深く考えないまま新卒就職を迎えるより、大学中退をきっかけに人生について考えたという人が多くいます。
そしてやりたいことや目指したい仕事が明確になったことで、知識やスキルアップに専念できたとポジティブに考えられる人です。
中退を後悔するよりも就職へのモチベーションにつなげられた人は、これからのステップアップもスムーズに進めることができるでしょう。
成長のきっかけになった
大学中退はきっと想定外の出来事だったかと思います。
特にコロナ禍における経済的な負担が大きくなり大学中退された方にとっては、努力してもどうしようもないことだったでしょう。
自分の描いていた未来がうまく進まなかったことに辛さを感じた人は、これから這い上がってやろうと努力を続けます。
そして向上心を持ちながら、中退は自分自身が成長するきっかけになったと前向きにとらえることができています。
実力が評価される
大学を中退し正社員就職すると、新卒で就職された方に比べると社会人経験を長く積み重ねることができます。
就職すれば学歴よりもスキルや成果、ポテンシャルが評価されますので、大学を中退したことよりも、実際に会社に入りどんな成果や実績を残したかが大切です。
社会人として実力を発揮し企業の貢献度が高ければ評価も高くなり、大学中退を後悔することは少ないでしょう。
また、採用時においても特別なスキルや経験よりも将来性や可能性に期待する企業も多いので、若さを活かして正社員就職にチャレンジしましょう。
【まとめ】大学中退後悔するorしない、分かれ道はその後の行動
今回は、大学中退の現状やその後の進路、大学中退後の対策について紹介しました。
予期しない出来事に遭遇し落ち込む方や後悔する方がいる一方で、中退してよかったと前向きに考えられる方がいるのも事実です。
大学中退は人生の大きな決断であり、中退後の行動によって就職のハードルに影響します。
それは学歴よりも中退したことに対するコンプレックスやネガティブさ、自信のなさが原因であるケースも少なくありません。
「就職したい」という意思があれば、年齢が若く就職市場でのニーズが高いうちに就職活動をスタートさせることが大切です。
また、空白期間をうまく活用し、人生の選択肢を広げたりキャリアプランを定めたりといった時間に費やすことも将来の糧になるはずです。
ぜひ紹介した大学中退に強い就職エージェントを活用したり、就職に役立つスキルアップを目指したり、向上心をもって人生のステップアップをしていきましょう。