40代のみなさんは、モチベーションを高く持ちながら仕事をできているでしょうか。
転職を経験していない人であれば、40代という年齢は今の会社で働き始めて20年程度が経過していると思います。同じ職場で長く仕事を続けていても、転職を経験していても、自身の仕事やキャリアに「限界」を感じることがある人はいるはずです。
ここでは40代で仕事に限界を感じる要因、またそのような状況から脱却する方法について解説します。
- 国家資格キャリアコンサルタント
外資系IT関連企業のプロジェクトマネージャーとして20年以上各種グローバルプロジェクトに携わった後、2016年にキャリアコンサルタントとして独立。企業の従業員の社内キャリア支援、外国人留学生の就職支援、副業クラウドワーカーのメンタリング、個人向けキャリアコンサルティング(転職活動支援、モチベーションアップ支援など)などを中心に、SDGsの視点を取り入れた人材育成・活用の分野で幅広く活動中。
40代が仕事に限界を感じる要因とは
一般的に40代というと、役職が付いて部下を持つなど会社内での役割が変わるだけでなく、子供の成長や親の介護などプライベート面でも人生に変化が訪れる年代です。
現在勤務している会社でのキャリアが長くても、今までなかったストレスや限界を仕事に感じることも出てきます。
仕事に限界を感じる要因とは何があるでしょうか。ここでは主な要因を挙げていきます。自身にも当てはまるものがないか、考えてみてください。
マンネリによるモチベーション低下
40代が仕事に限界を感じる要因のひとつは、マンネリによるモチベーションの低下です。
若いころは仕事をする上で慣れないことが多い反面、日々新たな経験やスキルを身に着けていき成長を実感できるでしょう。
しかし、長く仕事を続けていると、経験を身に着けることはできる一方で、大概のことには対応でき、新たな発見は少なくなりがちです。
仕事に変化を感じにくくなり、高い目標を持つことが難しくなるでしょう。
このように40代になるとキャリアを得られる一方で、成長へのモチベーションを高く保てなくケースがあります。
さらに、自身の「能力の限界」を感じることもあるでしょう。同期や後輩の成長スピードを目の当たりにし、今の仕事に対する自分の能力や適性に不安や限界を感じたり、今後の自分の成長に焦りを感じてしまうことは珍しくないはずです。
大手人材派遣会社パーソルホールディングスのグループ会社であるパーソル総合研究所は、2017年から毎年「働く10,000人の就業・成長定点調査」を発表しています。
同調査の「働くことを通じた成長」についての項目では、年齢を重ねることに成長を実感している人の割合が下がっていく傾向があります。
2017年では成長を実感している40代は45.2%と、半分以下でした。2021年は55.8%と割合は増えましたが、それでも成長を実感している40代は6割未満です。
また成長の重要性についての項目では、年によって若干のばらつきはありますが40代は低い傾向が出ています。
参照:パーソル総合研究所 働く10,000人の就業・成長定点調査 https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/pgs/#values
待遇・ポストが良くならない
次に考えられる要因が、社内での待遇・ポストの問題です。
長年同じ会社に勤める中で、昇進・昇格も1つの目標になるでしょう。しかし、管理職の数には限りがあります。すべての人が順調に出世できるわけではありません。
40代になると昇進していく同期がいる一方で、自分にはなかなか昇進のチャンスが巡ってこないという人もいるでしょう。
すると、今の会社では自分のキャリアに限界があると感じ、仕事へのモチベーションを保てなくなりがちです。
ここでも「働く10,000人の就業・成長定点調査」から、出世に対する年代別の意識を確認してみます。
「現在の会社で管理職になりたい」人の割合は、若い年代ほど高くなります。
毎年20代は30%を超え、30代では30%程度ですが、40代になると20%前後に落ち込んでおり、昇進・昇格への期待をそれまでの経験から考えて持てなくなったために、出世意欲に影響を及ぼしている可能性があります。
待遇面の問題は会社内でのポストだけではありません。収入面も要因の1つでしょう。
多くの人にとって、報酬は働くモチベーションに大きく影響する要素です。
40代になっても昇進の見込みがないことと同様に、給与が思うように上がらないことは仕事に限界を感じる要因になります。
特に40代という年齢は、子供の養育費など支出も増える時期です。給与面の不満から今の仕事では限界があると感じる人もいるでしょう。
労働環境への不満
労働環境への不満も、仕事に限界を感じる要因のひとつです。
厚生労働省発表の「令和2年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、仕事や職業生活でストレスを感じている人の割合は、20代で53.1%、30代で55.6%、40代で57.2%と少しずつ年齢を重ねるごとに増加しています。
感じているストレスの内容は世代ごとに大きな違いがあります。20代では「仕事の失敗、責任の発生等」が最も多くの人にとってストレスになっていますが、40代では半数以上となる55.0%の人が「仕事の量・質」にストレスを抱えており、特に「仕事の量」の割合は高くなります。
キャリアを重ねる中で、仕事量の変化に不満を覚えている人が多いことがわかります。
また40代では「対人関係」にストレスを覚える人も多いです。
対人関係は仕事をする上では重要な要素の1つと言え、人によってはこれ以上仕事を続けられないと感じる要因にもなりえます。そのほか、「雇用の安定性」、「会社の将来性」がストレスとなっている40代も多い傾向にあります。
参照:厚生労働省 令和2年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r02-46-50b.html
- 国家資格キャリアコンサルタント
自分に自信が持てず「限界」を感じるようになるという状態は、実はどの年代にも起こりうることです。自信を失いかけたその時、「限界だ」と自分自身でそれを認める人もいれば、「いやいや、限界なんてまだまだだ!」と気持ちを切り替え、仕事もプライベートもまた前向きに進めていける人もいます。
仕事への「限界」を感じても、その「限界」は自分が作り出した錯覚かもしれません。次に「もう限界だ!」と思う瞬間が来たら、「自分には限界なんてない!」と自分の可能性を認めてみてください。それを繰り返していると、段々自分の可能性を信じられるようになり、仕事に対して限界を感じても不安に襲われることは少なくなるでしょう。
40代が仕事への限界から脱却する方法は?
仕事に限界を感じたまま、それを続けていくことは困難でしょう。次は仕事の限界から脱却する方法を解説します。
異動で解決できそうなら今の職場にとどまる
今の仕事に限界を感じていても、職場を変えずにそれを解消できる方法はあります。
たとえば、今の仕事内容が自身に合っていないと感じている人は部署異動を希望することは選択肢の1つです。
会社の業種は自身の適性から外れているとは思わないが職種が合っていない場合など、部署を変更することで解決できると思われる場合は異動を申し入れてみましょう。
引き続き同じ会社で勤務を続けられるのであれば、職種が変わっても転職するよりは仕事の移行がスムーズです。
他にも人間関係で悩んでいる場合も、いきなり転職を考えるのではなく一度会社にとどまることを視野に入れましょう。
上司や同僚に問題がある場合、異動することで人間関係が変わり改善できるかもしれません。
またパワハラなどに悩まされているのであれば、人事部に相談してみましょう。
しかし、企業規模などの問題で異動では改善できそうにない、相談してもまともに掛け合ってくれない場合などは、無理に会社にとどまらず転職を検討した方がよいです。
環境を変えるべき人は転職する
職場にとどまることも選択肢の1つと述べましたが、仕事に限界を感じている人は、まず転職を考えていることでしょう。
もちろん職場を変えて自身が感じている限界の要因を取り除くことで、さらに活躍できる可能性が広がります。
また、健康状態に問題を抱えるほど仕事にストレスを覚えているのであれば、今の仕事を辞めるべきです。
部署異動などで改善できそうにない場合、心身を壊してまで今の会社で仕事を続けていることは望ましくありません。
40代での転職方法
今の仕事に限界を感じている人の多くは転職を考えることでしょう。実際に問題の内容次第では、転職を前向きに検討するべきケースも多いです。
早く転職するのが最善とは限りませんが、計画的に転職活動を進めるために、それぞれ抱えている問題に応じた転職の方法を紹介します。
仕事内容に不満がある人は他業種、他職種の転職
今の仕事内容に自身の適性や能力の限界を感じている人は他業種、もしくは同業種でも他職種へ転職しましょう。今の仕事の適性に疑問があって職を変えたい人は、当然ですが同じ仕事を選択してはいけません。
まずは自分の能力を分析した上で、活躍できそうな業種や職種を探してください。どうやって探せばよいか分からない人は、転職エージェントやキャリアコンサルタントに相談するのも有効な選択肢の一つです。もしやりたい仕事がすでにあるのであれば、その希望を叶えることができる会社を探しましょう。
仕事の変化が乏しくモチベーションが保てていない人は同業種他職種、もしくは他業種同職種の転職を検討すると良いでしょう。これまで培ったキャリアやスキルをある程度活かしたうえで、新たな仕事をすることで新鮮な気持ちで次のキャリアを進むことができるはずです。
中には同業種同職種の転職でも、マンネリ感が解消される場合もあります。同じ仕事内容でも扱う商品が変わることで新しく覚えることが出てくる、顧客が変わるなどの刺激があるものです。
待遇に不満な人は同業種同職種の転職、企業規模の違う会社も
昇進・昇格に不満を抱いている人は、まず同業種同職種の会社に転職することを検討しましょう。現在勤務している会社では出世が難しくても、他の会社では管理職のポストで働くことができるかもしれません。
今の仕事で培ったキャリアやスキルを活かしながら転職することになるので、新たな職場でも適応するための時間は比較的短く済むでしょう。大企業に勤めている人であれば、企業規模の小さい会社がその経験を買ってくれるケースもあります。
給与面での不満を抱いている人も、同業種同職種の転職を検討しましょう。なかなか昇給しないなと感じていても、別の会社ではより高い評価を得られるかもしれません。
まずは他者からの自身の評価を聞いてみるだけでもよいかもしれません。会社を変えることで、思わぬポストや給与を提示されることもあるのです。
職場環境にストレスがある人は転職先の環境に注意
職場環境にストレスを抱えていて転職する人は、次の職場を選ぶ際も今問題になっていることが解決されるかを重視して転職先を選びましょう。せっかく転職しても、同じことに悩まされてしまっては意味がありません。転職活動では、社風なども含めしっかりと情報収集をしてください。
- 国家資格キャリアコンサルタント
どの年代にも言えることですが、転職を真剣に検討する場合は、まずプライベートも含めて一度立ち止まって自分のキャリアを振り返る機会を持つことをお勧めします。そして、今後どのように仕事をしていきたいのか、どんな人生を歩んで行きたいのか、今の時点であなたが考えるキャリアプランを作ってみてください。
人によっては、勤務先の会社を変える転職だけが選択肢ではないかも知れません。起業の準備をする、副業を始める、ボランティア活動を始める、大学に入りなおすなどの方向転換も視野に入ってくるかも知れません。人生100年時代、40代から先の仕事人生は長いので、仕事に「限界」を感じたことを次の扉を開くためのサインと捉えて計画してみてください。
40代の転職で注意するべき点
抱えている問題ごとにおおまかな転職の方法について説明しましたが、40代の転職は決して簡単なものではないという現実もあります。ですが40代で転職できないというわけではありません。これから転職活動する人は以下のことに気を付けてください。
転職エージェントを活用する
40代の求人は若い年齢層と比較し、数が多くありません。企業側も即戦力として雇うケースが多く、転職にはある程度スキルが求められます。転職活動を有利に進めるために、転職エージェントの活用をおすすめします。
転職サイトに登録しエージェントを活用することで非公開求人を紹介してもらえるほか、転職活動にまつわる手続きのサポートも行ってくれます。転職の経験がなく、不安がある人はぜひ利用してみましょう。また、転職エージェントは仕事への不満などのヒアリングもしてくれるため、より自身に合った転職先を提案してくれます。
今の会社ではキャリアの行き詰まりを感じている人は、ハイクラス向けの転職エージェントを活用することもよいでしょう。このようなサービスでは、企業からのスカウトを待つスタイルのものがあり、キャリアやスキルを見てオファーを出します。今の会社よりも重要なポストや高い給与を打診されることもあります。
いきなり今の職場を辞めない
仕事に限界を感じている人は、「どうせ転職するなら今すぐ退職したい」という考えに至るかもしれません。ですがこれはあまりおすすめできません。
前述のとおり40代の転職は簡単ではなく、次の職場が決まるまで時間を要するケースが多いです。そのため、可能な限り今の仕事を続けながら転職活動をしてください。なかなか職場が決まらず無職の状態が続くと、収入面での不安から焦りが出てきます。
前職に対して「限界」を感じて辞めたにもかかわらず、情報収集が不十分、妥協して就職先を決めた結果、次の職場でも不満を抱えてしまっては意味がありません。
収入の減少は考慮する
特に他業種他職種に転職する際は、年収が下がることを念頭に入れるべきです。長年同じ会社で働いていれば、給与はそれなりに上昇していきます。しかし、やりたい仕事を優先し未経験の業種に就く場合は収入が低下してしまいかねません。
40代はプライベートでも環境の変化や、支出の増加があるでしょう。収入減少のリスクがあることを理解した上で、許容範囲を決めて転職活動をするべきです。
「限界」の要因を分析してより良い職場を探す
40代になるとさまざまな要因で仕事に対して限界を感じ、モチベーションを保てなくケースがあります。職場環境へ感じる限界もあるでしょう。そのような状況からは脱却できるのであれば早くしたいものです。
まずは自分がなぜ仕事に限界を感じているのか分析し、適した対応を取りましょう。転職を検討している人は、自分がどのような方向性を持って転職するべきなのか考え、仕事への限界から脱却してください。
- 国家資格キャリアコンサルタント
仕事に対して限界を感じているとき、その要因を自ら分析することは意外と簡単ではないかも知れません。なぜなら、限界だと感じたことでも、別のタイミングに取り組んでみたら限界を感じることなく結果を出すことができたり、でもまたすぐに限界を感じたり、と不安定な感覚に陥ることもあるからです。限界を感じている要因を自分で分析してみても良く分からず、自分には見えていない要因が絡んでいる可能性もあります。
そんなときは、人事部や外部のキャリアの専門家などの第三者に一度自分が感じている「限界」について相談してみるのもお勧めです。第三者の視点を取り入れることにより、自分が感じていた「限界」の正体を知ることができるかも知れません。
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