【作:ぐっちぃさん】
メデイアやSNSで目にする機会が多くなった「Z世代」。
指導する立場にある管理職は、彼らが求める働き方や価値観を知りたいと思うことも多いのではないでしょうか。
社会人として活躍をはじめたZ世代の若者に対して、どんなアプローチをすればいいか分からないという方は少なくありません。
もちろん世代だけで一括りにすることはできませんが、Z世代に限らず、時代や環境によって働き方や価値観が違うのは当然のこと。
今回はZ世代の特徴や働き方、他世代との違い、良好な関係を築く方法などを紹介します。
Z世代との関わり方に悩んでいる方はぜひ参考にしていただき、彼らの働き方や価値観への理解を深めていきましょう。
Z世代とは?
Z世代とは、一般的に1990年代後半から2010年頃に生まれた世代のことを表す言葉です。
ある程度の周期で「〇〇世代」という言葉は定着するものですが、もともとこの〇〇世代という言葉はアメリカで生まれた概念です。日本と海外では範囲が異なり、明確な定義や範囲は定められていません。
では、日本のZ世代にはどんな特徴があるのかみていきましょう。
Z世代の特徴は?
Z世代は”真の”デジタルネイティブ世代
Z世代は幼い頃からスマートフォンやインターネットに触れ、情報収集はもっぱらネット検索やSNSという方が多い世代です。
デジタルネイティブ世代といわれた「Y世代」と比べて、Z世代は真のデジタルネイティブ世代といわれています。
- Y世代・・・デジタルネイティブ世代
- Z世代・・・真のデジタルネイティブ世代
Y世代はデジタルネイティブ世代といっても、情報収集には新聞やテレビなどマスメデイアを利用していました。
その一方で、Z世代の情報収集はインターネットやSNSが中心。
例えば、トレンドやニュースはTikTokやTwitterをチェックする、趣味を楽しむ際は雑誌は読まずにInstagramを使うといった感じです。
もはや「新聞を読んで情報収集を」という上司の言葉は、Z世代からすれば古いと感じてしまうでしょう。
デジタルデバイスを使いこなす
Z世代のひとつ上の「Y世代」も携帯電話が普及しはじめた世代ですが、当時はガラケーが中心。
今の時代のように気軽にインターネットで情報収集やコミュニケーションをとり、知らない人と交流するようなスタイルではなく、内輪の友達とのやりとりが中心でした。
Y世代では携帯電話を持っている人も少なく、連絡ツールは“家電”が中心でしたが、個人間でやり取りするスマートフォンに慣れたZ世代は固定電話での対応が苦手な方が多いでしょう。
入社後に「電話の受け方が分からない」「電話をとるのが怖い」というZ世代を指導するY世代は「電話応対をどうやって指導していいか分からない」と悩む方も少なくありません。
またデジタルデバイスひとつでスケジュールやメモ、マップ、会社の情報を調べたり使いこなしているのもZ世代の特徴です。
指導中、紙とペンでメモをとらずにスマホを操作している社員に注意した方も多いのではないでしょうか。
Z世代にとっては当たり前のことですが、他の世代からすると違和感や世代の差を感じることがあるようです。
多様性・自分らしさを大切にする
「個」を大切にする世代であるZ世代は、自分の価値観や多様性を大事にしています。
ジェンダーレス・LGBTQなど多様性を重視する社会的な背景もあり、他者においても個を大切にし、自分の価値観を世間に発信できる特徴があります。
「いいね」「フォロー」で承認欲求を求める
SNSでのコミュニケーションが当たり前のZ世代は、自らの経験や価値観をインスタグラムやTwitterなどオンラインで発信しています。
「いいね」「フォロー」の数で自分の評価や価値を確認するという方も多いでしょう。
発信したことがどのように評価されるのかを気にする方や、他人から良く思われたいと思う方が多く、周囲の目を気にする特徴もみられます。
〇〇世代、他には何がある?
Z世代の他にはどんな世代があるのでしょうか。
X世代 | 1960年代初め~1980年頃生まれ |
Y世代 (氷河期世代) | 1980年代初め~1990年代半ば生まれ |
Y世代 (ミレニアル世代) | 1981年生まれ |
Z世代 | 1990年代後半から2010年頃生まれ |
α世代 | 2010年代はじめから2020年代半ば、もしくは終盤生まれ |
世代別に特徴をみていきましょう。
X世代
X世代は、ベビーブームの次の世代となり団塊世代ジュニアともいわれています。
1960年代はじめ~1980年頃生まれの方をさします。
X世代の方は年齢を重ねた後にインターネットが普及しているため、情報収集はテレビや新聞などのマスメディアとインターネットを効率良く活用されています。
そのため仕事に関しても柔軟性があり適応力が高い世代といわれています。
Y世代
Y世代は、1980年代はじめ~1990年代半ば、または2000年代はじめ生まれの方をさします。
なかでも1981年頃に生まれて2000年代前半に社会人になった方は、「新千年紀」を語源としてミレニアル世代ともいわれています。
1980年代前半から1995年に生まれた方は就職氷河期を経験されたため、氷河期世代ともいわれています。
バブル崩壊や就職氷河期の不安定な社会背景があるため、安定志向の方が多い特徴です。
α世代
2010年代はじめから2020年代半ば、もしくは終盤生まれの方をさします。
Y世代(ミレニアル世代)の子供にあたる世代で、Z世代の次の世代としてこれからの社会を担う方達です。
Z世代と比べると幼少期からデジタルデバイスが身近にあり、プログラミング教育やオンライン授業を経験するなどITリテラシーに長けているという特徴があります。
上司からすると宇宙人?効率さを求めるZ世代の働き方
生活スタイルや価値観が異なるZ世代ですが、会社での働き方も他の世代と異なります。
ではZ世代の働き方の特徴についてみていきましょう。
Z世代の求める働き方
- 効率性を重視
- ワークライフバランスを大事にしたい
- 仕事とプライベートは別
- 転職=ポジティブな選択
無駄なことは省きたい!効率性を重視
Z世代が育ってきたのは、スマホやインターネットが普及した環境。社会としても効率化が重視されてきました。
そのため、会社の業務やコミュニケーションにおいてもデジタルシステムやツールを駆使して「効率良く進めたい」と考え、常に効率性を意識して行動します。
会社においては良い人材だと言えますが、効率性や時短を意識しすぎて、上司や先輩世代とトラブルが起こることもなくはありません。
ワークライフバランスを大事にしたい
Z世代は仕事だけでなくプライベートの時間も大事にしたいと思う方が多く、ワークライフバランスを重視して職場選びをする傾向があります。
団塊の世代には当たり前だった「24時間働けますか」のキャッチコピーは完全に古い考え方です。仕事中心に生活していた世代とは異なり、Z世代は「プライベートを楽しむために仕事をする」という考え方です。
「仕事のためにプライベートを犠牲にしたくない」と思う方も少なくありません。
そのためライフスタイルやプライベートが充実しない会社であれば、転職を考えることも多いのです。
飲みニケーションはNG!仕事とプライベートは別
ワークライフバランスを重視したい方が多いZ世代ですが、仕事とプライベートを分けたい方も多いことが特徴です。
例えば昭和世代にとっては重要だった「飲み会」。
「飲み会は社員同士の親交を深め、モチベーションを上げることができる」とされてきましたが、Z世代にとっては受け入れがたいイベントのひとつです。
「業務時間外に、友達でもない上司や先輩と飲みにいくのはちょっと…」
「せっかく飲むなら仲の良い友達と時間を共有したい」
という考え方が主流のようです。
転職=ポジティブな選択
これまで「転職」というと、忍耐力がないなどネガティブな意識があり、「とりあえず3年は我慢」などと言われました。
しかしZ世代にとって転職はネガティブな選択ではなく、むしろ人生の転機ともいえるポジティブな選択なのです。
転職をして仕事とライフスタイルを充実させ、キャリアアップしていくことが当たり前。そんな意識になりつつあり、多様な価値観のもと転職への考え方も異なっています。
Z世代とうまく付き合う5つの方法
Z世代に対し「付き合い方が分からない」と距離を置いてしまうのは簡単です。
しかし、Z世代はこれから社会を担う大事な人材。
業務効率の視点を持ち、吸収力に優れているため、うまく付き合えば大きな活躍が期待できます。
では、指導する上司や先輩世代は、どのようにアプローチすれば良好な関係が築けるのでしょうか。
Z世代とうまく付き合う5つの方法
- まずは受け入れて否定しない
- コミュニケーションは適度な距離感で
- 「昔はこうだった」はNG
- 異なる意見も尊重する
- 風通しの良い関係作り
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
まずは受け入れて否定しない
誰でも自分が発信した内容を否定されたらいやな気分になるものです。
多様性を重視する環境で生まれ育ったZ世代は、特に「否定される」「怒られる」ことが苦手であり、嫌悪感をもちます。
「発言や提案した内容を否定された」と感じるのではなく、自分自身を否定されたと感じるからです。
Z世代の考え方や発言したことを理解し、それを決して頭ごなしに否定しないスタンスが大切なのです。
新人時代に怒られながら育ってきた世代の方にとっては、慣れないコミュニケーションかもしれません。
例えば「いいアイデアだね、ここをこうするともっといいんじゃないかな」というように、まずは認める姿勢を示すことが大切です。
コミュニケーションは適度な距離感で
Z世代は仕事とプライベートを分けたい方が多いため、プライベートに踏み込まれることを好みません。
「業務を円滑に進めるためのチームワークは良好にしたいけれど、プライベートはそっとしておいてほしい」という方が多いのではないでしょうか。
つかず離れずあっさりとした関係で業務を行いたい、それが効率のいい仕事の進め方だと感じている方が多いようです。
「Z世代の社員と仲良くなろう」と思い、プライベートに踏み込んだ質問をしたり飲み会を強制したりするのはタブーです。
モチベーションを低下させるだけでなく、セクハラやパワハラと捉えられ退職を決断するきっかけとなってしまう恐れもあります。
適度な距離感を意識したコミュニケーションがうまく付き合うコツのひとつです。
「昔はこうだった」はNG
つい言ってしまいがちなキーワードですが、「昔はこうだった」はZ世代にはNGワードです。
たとえば「昔は紙とペンでメモしてたよ」と、つい言ってしまう気持ち、アラフォーの筆者はよく分かります。
しかし、コミュニケーションや情報収集をインターネットやSNSを駆使するZ世代にとって、このNGワードは上司や先輩に対して反発心をもってしまう言葉。
「上から目線でえらそう」「古い」と感じさせてしまい、コミュニケーションが難航するだけでなく、いつまでたってもお互いの距離が縮まらない原因になってしまいます。
Z世代の新しい行動にも寛容になり寄り添って接することで、うまく付き合っていけるでしょう。
異なる考え方でも尊重する
Z世代は多様性を重視する環境で育ち、SNSやインターネットでさまざまな年代・価値観の方と交流してきました。
自身も自分らしさを大事にし、多面的な視野をもっています。
そのため考え方が異なった場合はそれを尊重し、ディスカッションするなど、社内全体で自由な発想や多様性を認める環境が大切です。
Z世代とコミュニケーションをとるときは、意見を尊重し価値観に寄り添うことを意識しましょう。
風通しの良い関係作り
一昔前は、会社は完全な縦社会。
上司や先輩に対して、部下が何かを提案したり口出しすることはタブーとされてきました。
しかしZ世代はコミュニケーションを大事にして育ってきた世代です。
そのため、縦社会でありながらも、自由に意見交換できるフラットな職場環境を好みます。
Z世代のアイデアや斬新さは、企業にとってもメリットがあるはずです。
良好な関係を築くポイントでもあるので、自由に提案できるようなオープンな関係作りをしていきましょう。
【まとめ】Z世代の特徴を理解して信頼関係を深めよう
今回はZ世代の特徴や働き方、他世代との違い、良好な関係を築く方法などを紹介しました。
Z世代は他世代と比べると、多様性を重視しプライベートを大事にする世代であることが分かりました。
コミュニケーションに垣根があり、多世代の上司や先輩からすると「もっと仲良くなりたいのに」と思うこともあるかもしれません。
しかしZ世代の若者からすると、「仕事は仕事、プライベートはプライベート」と分けて効率よく仕事をしたいと感じています。
これまで仕事中心に働き過ぎていた世代と異なり、よりワークライフバランスを大切にしたいのがZ世代です。
また、承認欲求が高いZ世代にとって「認める」「評価する」こともZ世代には効果的です。
Z世代の特徴や働き方をお伝えしましたが決して一括りにせず、それぞれ「個」として認めてうまく付き合っていきましょう。
ぐっちぃさん