看護師はブラック病院で働くと、肉体的・精神的にも無理をして体調を崩すリスクがあります。
今回は、看護師が働きやすいホワイト病院の特徴、ホワイト病院とブラック病院の見極め方、ホワイト病院の探し方などを詳しく解説します。
元看護師の筆者が、ブラック病院に勤務することで考えられるリスク、実際の体験談交えつつも紹介します。
転職活動中の方は参考にしてください。
看護師が働きやすいホワイト病院の特徴8つ
看護師にとって働きやすいと感じるホワイト病院には、8つの特徴があります。どのような特徴なのかご紹介します。
- 人間関係が良好
- 離職者が少なく人材がそろっている
- 看護師の年齢層・経験年数が幅広い
- 有休が取りやすい
- 各種手当がつく
- 教育制度が整っている
- 環境整備が行き届いている
- 組織全体のコンプライアンスが高い
人間関係が良好
ホワイト病院に務めるスタッフは、仕事へのやりがいやエンゲージメントも高く、人間関係が良好な特徴があります。
仕事にも余裕を持って取り組めていることと、チーム医療で上手くコミュニケーションを取れていることが大きな要因です。
逆に、ブラック病院ではスタッフ同士がいがみ合い、グループによって派閥が形成され、衝突することが多くなります。
ホワイト病院を探す際は、職場見学などの機会を利用し、人間関係を観察してみるとよいでしょう。
離職者が少なく人材が揃っている
ホワイト病院では離職者が少なく、人手も足りている点が特徴です。
看護師が仕事をしやすい環境にあり、エンゲージメントの高さから離職者が少ないのです。
ブラック病院は離職率が高いため、慢性的な人手・人材不足が起こっており、さらに離職率が高まるという負のループが発生します。
医療業界はもともと離職率の高めな分野でもありますが、3年以内に人が多く辞めている場合は注意が必要です。
求人探しでは3年以内の離職率をチェックするのがおすすめ
看護師の年齢層・経験年数が幅広い
ホワイト病院では看護師の年齢層が幅広く、若手からベテランまで幅広い方が働いています。
逆に、若手や中堅が少なく、ベテランの多い病院は要注意です。
若手・中堅層は行動力があり、より良い職場を求めて転職する方が多いからです。若手と中堅が少ない病院は勤務内容や雇用条件が厳しく、転職者が多いと考えられます。
また、ベテランばかりの病院では、ベテランの仕事意欲が低く、若手に仕事を押し付けるケースも少なくありません。
働きやすさを考えるなら、職場の看護師の年齢層と経験年数もチェックしましょう。
有給休暇が取得しやすい
有給休暇の取得率の高さはホワイト病院の特徴と言えます。
一部のブラック病院では上司の一存で有給休暇の取得を却下されたり、希望した日とは違う日に休暇の日程を組まれたりします。
有給休暇は労働者の権利であり、よほどの理由がない限りは優先して取得できるものです。
職場や周囲が有給取得を後押ししている病院も、ホワイト病院と言ってよいでしょう。
各種手当がつく
ホワイト病院は従業員の努力に対し、手当やサポートなどの形で報いています。
例えば、研修費用の補助や上位資格保有者への手当支給、看護学校の教員養成講座の費用助成などです。
手当やサポートが得られれば、働くスタッフのモチベーションも高まり、資格取得のために努力するきっかけにもなるでしょう。
一方のブラック病院では、高度な資格を取得しても少額の手当しか支給されず、研修費用の補助も出し渋るところが多いです。
病院として看護師のスキル・キャリアアップをサポートしている点が、ホワイト病院の特徴と言えます。
教育制度が整っている
院内での教育制度の充実もホワイト病院の特徴です。
看護師の教育には院内での集合研修、OJT、プリセプター、勉強会、e-ラーニングなど様々なものがあります。
病院がスキルアップ、キャリアアップへの支援をしっかりと行っているなら、ホワイト病院の可能性が高いです。
また、研修や勉強会が勤務時間内に行われており、職場でも受講を後押ししていればホワイト病院で間違いないでしょう。
逆に、勤務時間外の研修を義務化し、残業代も支払われないようならブラック病院の疑いが濃厚
環境整備が行き届いている
ホワイト病院では全体の環境整備が行き届いており、ゴミや汚れもない点が特徴です。
ホワイト病院は職員の心と時間にも余裕があり、施設の細かな部分まで整備が行き届いているためです。
また、汚れた病院は患者様が見た時の印象も悪く、病院全体の評判を落とします。
ホワイト病院は衛生環境への配慮だけでなく、病院への信頼を重視するために環境整備にも気を使っています。
転職活動で職場をチェックする際は、細かい部分まで環境整備に気を付けているか確認しましょう。
組織全体のコンプライアンスが高い
日本では企業のコンプライアンス違反が問題になっており、病院でもその点は同じです。
看護師は過剰な夜勤回数や残業時間の多さなどが問題とされ、一部には労働基準監督署の監査で指導を受ける病院もあります。
コンプライアンス意識の低い病院ではいじめ、パワハラ、残業代の未払い、個人情報の漏えいなどの問題が起こりやすいです。
ホワイト病院は職員全体にコンプライアンス研修を実施し、コンプライアンス意識の向上に努めています。
職場の評判や口コミを検索し、実際に働いた経験のある人の意見をチェックしてみましょう。
看護師がブラック病院で働き続けるリスク
看護師がブラック病院に勤務した場合、どのようなリスクが考えられるのかご紹介します。
疲労とストレスでうつ病になる
ブラック病院は看護師の離職率が高い傾向があり、残った看護師で業務に対応しなければなりません。
しかし、人材不足が続けば過労状態になり、体調を崩したり、うつ病になったりする方も現れます。
実際に筆者と同じ病院で働いていた看護師にも、ストレスで心療内科に通っている方、体調を崩して病欠になる方が何人もいました。
一度体調を崩すと復帰するには膨大な時間がかかるため、自分の職場がブラック病院と感じたら、早期に転職・退職しましょう。
仕事で大きなミスにつながる
ブラック病院では多忙さで疲労が溜まりやすいだけでなく、仕事ができない人というレッテルを貼られ、気分の落ち込みからミスにつながることもあります。
疲労は集中力を奪い、普段ならしないミスを引き起こすことがあります。
また、人間は「仕事ができない人」というレッテルを貼られると、心理学におけるラベリングの効果で本当に仕事ができなくなることが多いです。
パワハラやモラハラ、いじめのある職場では「ミスできない」というプレッシャーが、ストレスになることもあるでしょう。
常にプレッシャーを感じ続ける環境で働くよりも、実力を発揮できる職場に転職することをおすすめします。
キャリアアップできない
ブラック病院の特徴として、看護師の人材確保には力を入れていても、入社後に人材を育成するという視点が少ない傾向があります。
そのため、ブラック病院に勤務していると、スキルこそ学べるものの、キャリアアップのチャンスは滅多にありません。
認定看護師・専門看護師の取得、管理職へのキャリアアップ、専門領域を極めたい人にとっては働きづらい環境です。
実際に働いている人の声や評判を調べれば判断できます。転職予定の方はしっかり確認しましょう。
看護師を辞めてしまう
ブラック病院で過酷な環境を経験した看護師は、仕事への意欲や希望を見失って辞めてしまう可能性があります。
実際に筆者も体調を崩して休職した看護師、無理をして腰痛や椎間板ヘルニアで看護師を辞めた方を見ています。
ブラック病院で肉体的・精神的に追い込まれてしまえば、最悪の場合、看護師という仕事そのものが嫌いになるでしょう。
ホワイト病院とブラック病院を見分ける5つのポイント
看護師が転職活動する方のために、ホワイト病院とブラック病院を見分けるための5つのポイントをご紹介します。
看護基準と病床数で判断する
看護師の仕事環境がホワイトか、ブラックかを見分けるには、看護基準と病床数をチェックすることが重要です。看護基準とは、看護師1人当たりが受け持つ患者数を示しており、看護基準が10対1なら看護師1人に対して患者様を10人受け持つことになります。
7対1なら看護師1人に患者様が7人となり、看護師の受け持つ患者数が少ないほど、業務負担が減っていきます。病院の規模や病床数、対象患者の重症度によっても違いますが、看護基準に対して給与や仕事内容が適性かどうかで判断しましょう。
年間休日数が120日以上あるか
一般企業においては、年間休日数120日がホワイト企業の目安になっています。ただし、看護師は不規則な勤務でもあるため、年間休日数110~120日と幅を持たせ、120日に近いほどホワイト病院と考えます。
看護師は夜勤もあって体力的に大変な仕事ですから、年間休日が110日未満ならブラック病院と考えてよいでしょう。また、ホワイト病院は管理者側から有給休暇の取得を勧められることもあるため、職場で働く人の話も判断材料になります。
キャリアアップ支援制度があるか
看護師のキャリアアップ支援制度の有無は、長く働くうえでモチベーション維持に大切な要素です。キャリアアップを支援してくれない病院では、将来のキャリアが不透明で、長く働くのには不向きです。
ホワイト病院で働きたいなら、看護師の教育制度や働きやすい環境作り、資格取得・キャリアアップ支援を行っているか確認しましょう。面接や職場見学の際に確認することで、実際にどのような支援があるのか細かく質問することが重要です。
離職率と求人の頻度を確認する
ブラック病院に転職するリスクを抑えるには、離職率と求人掲載の頻度を確認することもポイントです。ブラック病院は離職者が多いため、ハローワークなどの求人票でも離職率が高くなっています。
加えて、求人が頻繁に掲載されており、掲載期間も長いものは要注意です。どちらにも当てはまる病院の求人があった場合、求人票の条件が良くてもブラック病院の可能性が高いため、応募は検討したほうがよいでしょう。
評判・口コミが良いか
ホワイト病院は職員の教育が行き届いており、看護師から事務の受付、薬剤師、検査技師、清掃員に至るまで丁寧な対応で評判も良いです。一方、ブラック病院は患者様の前でも職員が悪口を言っていたり、同じ職員同士を差別する言葉・言動が見られたりします。
筆者の見たことのある病院では、清掃員に対して「汚い」と言い、差別的な発言をしていたところもあります。そうした病院は患者様から見ても問題があり、実際に口コミでも評判が悪かったです。
働いたことのある職員だけでなく、第三者の口コミや評判も確認すると、ホワイト病院とブラック病院を見分けやすいです。
ホワイト病院の求人の探し方
ホワイト病院の求人を効率的に探すために、どのようなポイントを押さえるべきかご紹介します。
希望条件に優先順位をつける
ホワイト病院の求人を探すには、まず自分が希望する条件を洗い出し、優先順位をつけることが大切です。あまり多すぎても混乱してしまうため、給与、福利厚生、勤務条件、職場の雰囲気、教育制度、キャリアデザインなどの条件から3~5個程度選びましょう。
優先順位が決まれば、転職先の求人を確認した際に候補に入れるか、除外するかという判断がしやすくなります。希望条件に合う病院がなければ、条件を変更して再度検索すると、自分に合ったホワイト病院が見つけやすいです。
転職先に複数の候補を検討する
転職活動を進める際は、いきなり転職先を1つに絞ってはいけません。最初から1つの病院以外狙っていないなら別ですが、最初は複数の候補を選び出し、並行して転職活動を進めましょう。
その際、一つひとつの病院の情報収集を怠らず、公式サイトや評判、職場見学で実際の現場確認も行ってください。求人の情報と実際の現場ではギャップがあることも多いため、情報収集せずに転職すると失敗の元です。
職場見学で内部をチェックする
ホワイト病院を探すには、面接前か面接のタイミングで職場見学もさせてもらいましょう。職場見学は実際に自分が働く予定の職場を見て、雰囲気を肌で感じる貴重な機会です。
職場の人間関係、環境整備の状況は見てみないとわかりませんから、少ない機会も有効に活用してください。可能なら現場で働く看護師とも話す場を設けてもらい、やりがいや仕事内容などを聞くことをおすすめします。
ブラック病院の場合、職場見学そのものに嫌な顔をするか、現場の看護師と接触することを拒否されるため、判断材料としても有効です。
夜勤体制と頻度は自分に合っているか
看護師の夜勤体制には、2交替制と3交替制の2種類があります。2交替制は、通し夜勤とも呼ばれ、午後5時頃から翌朝9時頃まで勤務するのが一般的です。
3交替制は夜勤と準夜勤があり、準夜勤は午後5時頃から深夜1時、夜勤は深夜1時から朝9時までとする病院が多いです。体力に自信のある方は2交替制勤務、長時間の夜勤拘束がつらい方は3交替制勤務がよいでしょう。
看護師向けの転職エージェントを利用する
ホワイト病院を探すには、看護師向けの転職エージェントを利用することも重要です。転職エージェントに登録すると、履歴書・職務経歴書の作成、面接日程調整、条件交渉などをキャリアアドバイザーが代行してくれるため、効率的に転職活動が進められます。
それだけでなく、キャリアアドバイザーは病院の内部事情を教えてくれたり、職場見学の日程を調整してくれたり、遠方ならオンラインの職場見学をさせてくれたりもします。
ホワイト病院のみを扱っている転職エージェントもあるため、ブラック病院への転職を避けたい方は看護師向け転職エージェントを利用しましょう。
訪問看護師の求人を探すなら転職エージェントを利用しよう
ブラック病院から転職したい方、ホワイト病院の求人をお探しの方は、看護師向け転職エージェントの利用をおすすめします。
転職エージェントの中でも、求人数が豊富でサービスも充実しているのが「レバウェル看護」です。レバウェル看護は全国の病院・クリニックなどに対応しており、キャリアアドバイザーも遠方への転職にしっかり対応してくれます。
また、優先したい希望条件を伝えておくと、条件に合った求人がLINEやメールで紹介され、自分で探す手間がかかりません。キャリアアドバイザーは地域別に担当が決まっており、自分が希望する地域の病院に精通した方が担当してくれる点も心強いです。
転職でブラック病院に捕まりたくない方、長く働いてキャリアアップできる病院を探したい方は、看護師向け転職エージェント「レバウェル看護」で求人を検索しましょう。
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まとめ:ホワイト病院を見極めて働き甲斐のある職場を見つけよう
看護師が働きやすいホワイト病院の特徴、ブラック病院の見分け方などを解説しました。病院の中には人手不足に陥り、看護師にとって働くには過酷な環境のところもあります。
しかし、今回紹介したように見分け方のポイントを押さえておけば、ホワイト病院とブラック病院を見極めることも可能です。ブラック病院に勤務すると心身に大きな負担をかけ、生涯にわたる大きな損失につながることがあります。
転職エージェントやホワイト病院探しのポイントを活用し、看護師にとって働き甲斐のある職場への転職を成功させましょう。
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